| 研究課題/領域番号 |
18K05746
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| 研究機関 | 島根大学 |
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研究代表者 |
木原 淳一 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 教授 (40294368)
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| 研究分担者 |
陶山 大志 島根県中山間地域研究センター, 森林保護育成科, 専門研究員 (20502892)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | サカキ / 輪紋葉枯病 / 繁殖体 / 分類 / 病害防除 / 植物病原糸状菌 / 紫外線 |
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| 研究実績の概要 |
モッコク科サカキ属の常緑小高木であるサカキ（榊）は、葉物としてのニーズが高く、近年、中山間地域でのサカキ栽培が広がっている一方で、サカキ輪紋葉枯病による被害が拡大している。しかしながら、本病の原因となるサカキ輪紋葉枯病菌には、未だ種名がなく、その生活環や病理学的特性に不明な点が多いことが障壁となり、効率的な病害防除対策が確立していない。本研究では、「種分類」・「生活環」・「病理学的特性」に焦点をあてた基礎研究をとおして、サカキ輪紋葉枯病の実用的かつ効率的な防除への応用研究に展開していくことを目的とした。
はじめに、すでにサカキ輪紋葉枯病菌を高感度で特異的に検出するために確立したLAMP法の検出試薬を再検討した結果、WarmStart Colorimetric LAMPが陽性・陰性を視覚的に判別しやすいことを明らかにした。また、人工接種したサカキ葉からもサカキ輪紋葉枯病菌を検出することが確認できた。
次に、サカキ輪紋葉枯病菌の宿主範囲を明らかにするため、約70種の植物葉にサカキ輪紋葉枯病菌を接種し、病原性及び繁殖体形成を調査した。その結果、36種の植物葉で病斑形成及び繁殖体形成が認められたが、それらの程度は、植物種により、やや異なっていた。
一方、松江市楽山公園にあるチャ及びヤブツバキに、輪紋葉枯病様の病気が認められたことから、病原菌を分離し、性状解析を行った。その結果、病斑上に形成される繁殖体は類似しており、rDNA ITS領域の遺伝子配列も一致したことら、チャ分離菌はチャとヤブツバキの両方に病原性を示したことから、両植物から分離された病原菌は同一であることが示唆された。しかしながら、サカキ輪紋葉枯病菌とは繁殖体の形態及びrDNA ITS領域の遺伝子配列が異なっていたことから、チャ及びヤブツバキ分離菌はサカキ輪紋葉枯病菌とは異なることが示唆された。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全体的に概ね順調に推移しているものの、再現性やデータ量、および、実験精度において不十分な点がいくつかあるため、これらの充実を図る必要がある。
サカキ輪紋葉枯病菌のジェネット分布を明らかにするため、マイクロサテライト（SSR）マーカーを作成したが、有効性の確認にとどまっており、実用性を検討する必要がある。
LAMP法については、サカキ輪紋葉枯病菌と近縁な糸状菌を用いた更なる解析が必要と考える。サカキ以外に、チャとヤブツバキで新たに輪紋葉枯病菌と思われる植物病原糸状菌が分離できたことは新しい発見と考えている。
コロナ禍により、室内実験及び野外調査が十分に行えなかったため、補助事業期間延長を申請し、令和3年度まで本研究を継続することとした。
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| 今後の研究の推進方策 |
修士学生1名と学部学生2名で、本研究を推進していく予定である。マイクロサテライトマーカーによるジェネット分布の解析のため、病気が多発生する時期にサンプリングを行ない、解析サンプル数を確保したい。チャとヤブツバキで新たに分離した輪紋葉枯病菌と思われる植物病原糸状菌の解析を重点的に進めていく予定である。また、人工接種に供試するため、人工培地上で繁殖体を安定的に形成する条件を検討し、接種実験を加速していく。
これまでのデータを取りまとめ、論文作成を進めていきたい。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により室内実験及び野外調査が十分にできなかったこと、及び、前年度に購入した実験試薬や器具などのストックがあったことから、当該年度の支出が抑えられた。コロナ禍により、室内実験及び野外調査が十分に行えなかったため、補助事業期間延長を申請し、令和3年度まで本研究を継続することとした。
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