研究課題/領域番号 |
18K05754
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
五十嵐 哲也 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30353569)
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研究分担者 |
宮本 和樹 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60353877)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 針葉樹林 / 混交林 / 林分構造 / 細根生産 / 細根動態 / 細根樹種判別 / 近赤外分光法 |
研究実績の概要 |
地上部の調査より、混交林区では通常区と立木の胸高断面積合計には有意差はないが、広葉樹の断面積が大きく、樹高が高いこと、そして個体ごとの断面積のばらつきが大きいことが明らかになった。地上での光環境についても平均開空度には有意差はないが、開空度の空間的なばらつき(水平方向)は混交林区で有意に大きかった。地上部の構造に関する限り、混交林区と通常区の違いは、量ではなく、空間的なばらつきに現れていると推察した。 近赤外光を用いて細根の樹種判別手法を確立するという目標は達成され、これによって針葉樹と広葉樹の細根を識別して計量できるようになるため、今後の針葉樹林における細根動態の研究に寄与する。 単一樹種の林(通常区)よりも複数の樹種で構成される林(混交林区)で森林全体の細根(直径2mm以下)の現存量や生産量が増加するとの予想は、細根現存量については支持された。また、混交林区の10-20cmで広葉樹の細根現存量の割合がやや高かったことから、広葉樹がより深部に根を伸ばしている可能性が示された。これは、ヒノキと広葉樹では利用する深さが異なり、空間を分割して使用することで空間利用効率が上がるという当初の予想に近いものであった。一方、細根生産量については通常区と混交林区との間に明瞭な差は見いだせなかった。このほか、ターンオーバーが通常区で高いことから、広葉樹の種組成の違いによる細根寿命の違いが細根の現存量に影響する可能性が示された。 以上のことから、混交林化が細根生産量へ及ぼす影響の一般的な傾向とそのメカニズムについては、他の高齢人工林における調査データを加えて、さらに詳細な調査による検討が必要であると考える。本研究では、近赤外分析法によるヒノキと広葉樹の細根を判別する手法の基礎を確立することができた。今後、高齢人工林や針広混交林などを対象とした細根動態研究への寄与が期待される。
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