研究課題/領域番号 |
18K05755
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研究機関 | 国立研究開発法人森林研究・整備機構 |
研究代表者 |
北原 文章 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50582748)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 森林生態系多様性基礎調査 / NFI / 不連続性の評価 |
研究実績の概要 |
今年度は、第1期から第3期までの時系列でのNFIデータの連続性について、西日本のスギ人工林を対象に基礎解析を行った。その結果、林分蓄積量の平均値としては一定の割合で推移しているものの、プロット単位でみるとその変化のパターンは様々であり、1期から2期にかけては、樹高、立木本数、直径の順でそれぞれの変化が蓄積の変化量に影響を与えていたが、2期から3期にかけては立木本数、直径、樹高の順に影響していた。蓄積変化量に影響を与える測定値の変化については精度検証事業の効果があると考えられたが、その他に調査デザイン上の問題もあることが明らかとなった。また、樹高測定木の抽出方法が樹高曲線や林分特性値の連続性に影響を与えている可能性がみいだされたため、樹高測定木抽出方法についても検討を行った。 本課題では樹高の不連続性を定量的に評価するために、長期固定試験地(LTE)データと短期固定試験地(STE)データの取得を行う。今年度は、LTEデータとして、森林総合研究所関西支所、四国支所、九州支所において調査が行われている収穫試験地(スギ林、25カ所)のデータを収集した。関西および九州のLTEデータについては、研究協力者に依頼し収集を行った。STEデータについては、森林生態系多様性基礎調査精度検証事業(林野庁事業)において行われている再測(コントロール)調査点の2時期目の調査を行った。当初計画では2年間で20点を予定していたSTEデータであるが、本年度に計画点数のデータ取得を行った(近畿5点、四国3点、九州12点)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、対象地域における基礎解析が終了し、上層木樹高の連続性を評価するための一般化差分式作成に向けた、LTEおよびSTEデータの取得を行った。特にSTEデータについては、当初計画では今年度および次年度で調査を行う予定であったが、本年度に予定していたデータ数の取得が行えた。一方で取得したデータを用いた解析まで至らなかったことから、次年度は追加データを得るとともに樹高の連続性評価に重点を置き研究を行うこととしている。以上のことから、今年度は概ね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
得られたLTE・STEデータから上層木樹高における一般化差分式を作成し、第1~3期NFIデータの不連続性を確認し、NFIによる資源統計量の時系列乖離を定量的に評価する。不連続性が確認されたNFIデータについては作成したモデル式を変換し,信頼性の高い時期(調査時期の新しい第3期)のデータから過去のNFIデータの補正手法を構築する。また2018年度で第4期NFIが終了したことから、データの利用が可能であれば第4期データについても同様に連続性を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
計画していた予算より安価にSTEデータの取得ができたため、繰越金が発生した。次年度はSTEデータの追加調査および検証調査について繰越金および次年度予算を用いて行う。また、国際学会、国内学会での成果発表それぞれ1件ずつ予定している。
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