8つのベースモデル式(HossfeldⅠ・Ⅱ・Ⅲ,Korf,King-Praodan,Chapman-Richards,Sloboda,Stand)からサイトパラメータを変化させて15の一般化差分式への誘導を行った。これまで2年間に収集した長期および短期固定試験地データの期首と期末の林齢および上層木樹高を用いて一般化差分式へ当てはめた結果,ベストモデルはKorf式の一つが選ばれ(RMSE=0.91)、次いでRichards式の一つのモデルであった(RMSE=0.93)。対象とする西日本南部におけるNFIプロット(1-3期まで継続調査林分、スギ)において,ベストモデルを当てはめたところ観測値と予測値のRMSEは2.78と大きかった。これは観測値に測定誤差が多分に含まれていることに起因すると考えられる。そこで,短期固定試験地データの期末情報をもとに期首樹高を推定したところ,RMSEは1.77となりその半数以上は±1m以内に収まっていた。また,一部のプロットでは推定値がコントロール値(精度評価のために測定された値)に近似していたことから,補正手法としての有効性が確認された。このことから、精度評価のためのコントロール調査を同一点で多時期に行うことで、短期固定試験地データを蓄積することが可能となり、本研究で検討したモデルを用いることで不連続性の高い測定値をより確からしい値に補正することが可能となると考えられる。
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