研究課題/領域番号 |
18K05757
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
幸田 圭一 北海道大学, 農学研究院, 講師 (80322840)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | アルカリ性ニトロベンゼン酸化 / バニリン / 相間移動触媒 |
研究実績の概要 |
本研究課題の実施初年度にあたる今年度は、初歩的ながら、目的とする反応条件改良の大前提となる、反応生成物の安定性についてまず確認した。すなわち、アルカリ性ニトロベンゼン酸化法の典型的な反応条件下において、通常用いられる脱脂木粉試料ではなく、標品であるバニリン等の芳香族アルデヒドを処理し、その収量を確認した。その結果、最初に秤量した標品を、ほぼ定量的に回収できることを見出した。その上で「研究実施計画」に従い、反応条件の改良に向けた検討を進めた。すなわち、シラカンバ脱脂木粉を対象として、アルカリ性ニトロベンゼン酸化反応の他の条件は固定し、代表的な相間移動触媒(例:水酸化テトラブチルアンモニウム)を新規に添加した条件で、予備実験を試みた。今年度検討した限定的な範囲では、脱脂木粉試料に由来する、バニリン等のニトロベンゼン酸化生成物の収量を有意に向上させる反応条件を見出すには至らなかった。同一の添加試薬に関する反応条件の設定数や、同一反応条件における実験の繰り返し数がなお少なく、その点では検討が不十分であったため、次年度の初期にはこの点を補う必要がある。なお、添加剤である四級アンモニウム塩のカチオン部分のアルキル鎖長ばかりでなく、そのカウンターアニオン種(ハロゲン化物イオン)や、あるいは使用する塩基(水酸化ナトリウム)のカチオン種が反応性に関与する可能性もあるため、この点にも留意する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は余裕をもって典型的な反応条件の検討のみを計画していたため、おおむね計画通り進んだと判断している。
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今後の研究の推進方策 |
相間移動触媒を用いた反応条件の検討を引き続き進める。さらに、反応生成物の安定性に関わると予想される別の試薬(ホウ酸塩など)の添加効果を、「研究実施計画」に従い、次年度では検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、試料微粉砕機を当年度(研究初年度)に購入する予定であったが、年度途中で当該機種のタイプの見直しや、他に応用可能性・汎用性がより広い別種の試料粉砕機の購入を検討した。すなわち、研究費のより有効な活用に向けて計画の変更を迫られたため、今年度は購入を急がず次年度に回したことが、次年度使用額が生じた理由である。
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