研究課題/領域番号 |
18K05757
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
幸田 圭一 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (80322840)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | リグニン / ニトロベンゼン酸化 / 試料粒度 / 芳香族酸 / 芳香族アルデヒド / 生成物収量 |
研究実績の概要 |
本研究課題の3年度目(本来は最終年度)に当たる今年度は、前年度までに積み残した課題の実施を計画していた。すなわち、(1)アルカリ性ニトロベンゼン酸化生成物である芳香族アルデヒドならびに芳香族酸の収量の向上ならびに安定化、さらに新規生成物の定量を目指した反応助剤(安定化剤・反応促進剤)の添加条件の検討、および、(2)粉砕強度を変えて調製した広葉樹材木粉に対する、アルカリ性ニトロベンゼン酸化の最適処理処理条件の検討、といった課題の実施を計画していた。しかしながら、新型コロナ禍によるオンライン授業対応(動画作成)などに多くのエフォートを割かざるを得なかった状況から、こうした課題を個人研究として進めることがほとんど果たせなかった。(1)に関しては、引き続きホウ酸塩添加による安定化の検証を進めたが、本来のニトロベンゼン酸化法では不安定な新規生成物(例えば、カテコール骨格を有する化合物)を再現性良く安定的に回収する条件の確立にまでは至らなかった。相関移動触媒の利用など、当初予定していた反応促進剤に関する検証には手を付けていない。(2)に関しては、試料粉砕装置であるワンダーブレンダーや遊星型ボールミルを用いてシラカンバ材、ミズナラ材の微粉砕物の調製は行なったが、そのニトロベンゼン酸化に関してはごく初歩的で、予備試験的な検討に留まり、反応条件を種々に変えて、体系的に最適化条件を検討する段階には至らなかった。今年度とは異なり、講義対応に関し余裕ができる次年度まで1ヶ年、当初の研究年限を延長することによって、これらの検討を引き続き進めたいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は新型コロナ禍に対応した授業様式を急遽求められた。例えば、不慣れなリモート機器を扱いながら、通常の講義準備の5倍前後の時間がかかる講義動画の作成や、例年とは全く異なる形式での実験・実習メニューの策定・実施に向けて、教員間での会議やその他の準備に多くの時間と労力を費やさざるを得ず、当初計画した本研究課題を、指導学生が関わっている別の研究プロジェクトと並行して遂行することはほとんど不可能な状況であった。
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今後の研究の推進方策 |
(1)アルカリ性ニトロベンゼン酸化生成物の収量の向上ならびに安定化等を目指した反応助剤の添加条件の検討、およびその検討結果を踏まえた上での、(2)広葉樹材木粉に対する、アルカリ性ニトロベンゼン酸化の最適処理処理条件の検討、を引き続き進める予定である。なお、試料に関しては、木材の他に、葉や樹皮などこれまでに研究報告例が少ないものも、余裕があれば検討対象に加えることを計画している。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)今年度は新型コロナ禍対応のため、教育面(リモート講義用動画作成など)に多大な時間と労力を割かざるを得ず、本研究計画の実施に必要なエフォートの確保がほとんど不可能であった。そのため、ごく少額の「消耗品」に対する研究予算の支出に留まった。加えて、国内外の学会大会の開催も新型コロナ禍の影響を受けて中止、または開催された場合でも対面形式ではなく、ほぼ全てがリモート形式に急遽変更されたため、当初計画にあった「旅費」の消化が物理的にできなかったことも今年度の経費支出が極めて少なかった理由である。こうした事情から、研究実施計画を1年間延長するとともに、次年度において未消化の予算を有効に活用することで、適切な時期に適切な形で経費支出ができるものと考えている。
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