研究課題/領域番号 |
18K05769
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
山内 秀文 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (90279513)
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研究分担者 |
佐々木 貴信 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00279514)
林 知行 秋田県立大学, 木材高度加工研究所, 教授 (60370285) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | スカーフジョイント / バットジョイント / CLT / 現場施工 |
研究実績の概要 |
昨年度に明らかになったテーパージョイントのモデル実験およびウレタン樹脂による実大寸法での実験結果に基づき、接着剤の凝集力がより高いエポキシ樹脂接着剤を二次嵌合部に用いた実大接合試験体を作成してその評価を行った。 ラミナにスギ、接着剤にAPIを用い、種々の接合部を付与して作成した等厚・3plyのCLTの嵌合部を、エポキシ樹脂接着剤にて二次接着したものから曲げ試験用の試験体を切出し、4点曲げ試験による力学性能評価にて接合性能を評価した。二次接合時は現場接合を想定し、嵌合する1対の試験体を垂直に配置し、嵌合荷重は上に来るCLTの自重のみとした。その結果、テーパー比(傾斜部長/材料厚さ)の関係については、昨年度の結果から予測された性能に概ね準じた結果が得られ、サネ状(接合平面方向に凹凸を設けない単純な形状)の接合形態でも、テーパー比を4/1にする事で、設計上は十分な接合性能が得られることが明らかになった。これらの成果については、査読付き論文(土木学会・木材工学論文報告集19, 52-59, 2021.2)として報告している。 一方、上述のように嵌合時の圧締力を材料の自重のみに止めたため、接合部の精度によっては嵌合部の一部に隙間を生じなど、均一な接合形状が得られない場合があることなどが明らかになり、昨年度のウレタン樹脂による嵌合の不十分さがこれに起因する可能性が示唆された。また、エポキシ樹脂・4/1の条件で工学的には十分に利用可能な性能が得られるものの、その絶対値は無接合の性能には及んでいない事から、当初の想定通り平面方向の凹凸構造について検討するととともに、最終的な材料設計に必要となる接合部の精度について検討する必要が出てきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
令和2年度は、特に共同研究者とともに行う予定であった実大での実証実験に関して、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い共同研究機関間の移動がほとんどの期間で制限されてしまったため、最終年度の主要課題であった最終の本体実験およびその前提となる実証試験体の設計・試作などに関して十分な情報共有・技術連携ができす、最終的な取り纏めに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に行う予定であった検討課題のうち、残されている課題について遂行する。昨年度の経験上、夏期に感染状況が改善する可能性が高いことから、状況に合わせ7-9月に実験ができるよう、早めに計画と資材調達等の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症蔓延の影響で、特に旅費の支出が全くできなかったこと、大型実験に関わる経費が執行できなかった。今年度は、昨年度に執行できなかった部分の実験については、昨年度の経験に基づき、コロナ感染症が比較的落ち着く夏期から初秋にできるだけ実行できるよう、実験計画を立てて執行する予定にしている。
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