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2019 年度 実施状況報告書

なぜ樹皮タンニンは汚染空気の酸化作用を低減できるのか?-ポリマーの利点を探る-

研究課題

研究課題/領域番号 18K05771
研究機関国立研究開発法人森林研究・整備機構

研究代表者

牧野 礼  国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (50353850)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードタンニン / 二酸化窒素 / 樹皮 / 抗酸化能
研究実績の概要

縮合型タンニンは、樹皮に豊富に含まれる高分子ポリフェノール成分であり、高い抗酸化能を持つ。これまでに、気相では高分子であるタンニンの抗酸化能が特徴的に高いことが明らかになったが、そのメカニズムは不明なままである。本研究では、強い酸化作用を持つ二酸化窒素を用いて、タンニンの気相抗酸化メカニズムを解明し、樹皮タンニンの新たな有用機能を明らかにすることを目的とする。
タンニンは蒸煮処理により種々の化学変換をすることが報告されていることから、カテコール型の芳香核を持つスギタンニンを用いて、蒸煮爆砕処理によるタンニンの化学構造変化と二酸化窒素の除去能との関係を検討した。蒸煮爆砕処理の最適条件を検討するため、スギ内樹皮を180-200℃の温度域で蒸煮爆砕処理を行い、処理樹皮を70%アセトンで抽出し、タンニンを精製した。得られた処理タンニンを二酸化窒素除去試験に供した結果、タンニンポリマーとオリゴマーが共に、二酸化窒素除去率が高くなった。最も除去率が高かったのは、200℃の蒸煮爆砕処理樹皮から精製したオリゴマーであった。タンニンは蒸煮処理によりピラン環やフラボノイド間結合の開裂等の反応を起こすことが報告されており、これらを含む化学構造変化が除去能を向上させる一因であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

スギタンニンはカテコール型の芳香核を持ち、構成単位としての除去能は低いが、180-200℃の蒸煮爆砕処理による化学構造変化により除去能を向上できることが示唆された。従って、180-200℃の蒸煮爆砕条件は、タンニンの除去能向上に適していると考えられた。今年度の研究計画はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでの結果から、二酸化窒素除去能に影響を及ぼす樹皮タンニンの化学構造は、カテコール型及びピロガロール型の芳香核であることが分かっている。したがって、次にピロガロール型の芳香核を持つ樹皮タンニンを用いて、蒸煮爆砕処理による化学構造変化と二酸化窒素除去特性との関係を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

予定していた出張が、新型コロナ感染拡大防止のため中止となったことから、次年度使用額が生じた。タンニンの抽出・分析及び気相抗酸化試験に必要な実験器具、試薬類を支出する。効率化のため、実験補助員を雇用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 蒸煮爆砕処理したヤナギ樹皮タンニンの二酸化窒素除去能2020

    • 著者名/発表者名
      牧野礼、橋田光、松井直之、大平辰朗
    • 学会等名
      第70回日本木材学会大会

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公開日: 2021-01-27  

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