研究課題
近年、水産養殖業のグローバリゼーションに伴い、有用貝類の世界中への輸出入量はますます増加する傾向にある。目的とする有用貝類に伴って、非意図的移入生物である環形動物門多毛類が大量に、繰り返し、生きた状態で世界の海域を移動している。スピオ科多毛類に属するpolydoridsは、貝類の貝殻に自ら穴を掘って棲管をつくり、または貝殻の隙間に泥管をつくり生息することが広く知られ、それらの中には有用貝類の成長阻害や斃死を引き起こす種が報告されている。また、外来生物は生物多様性を減ずる可能性が指摘されているため、その観点からも本種群は議論が必要である。今年度は、国内外ともにフィールドへの出張が限定され、調査が困難だった。そのような中、polydorids の国内の種群についてその分類学的、生態学的検討を行った。青森県尾駮沼において、天然のマガキ貝殻には polydorids の生息が多数確認されていたが、今回調べた結果、ほとんど生息が確認できなかった。個体群が減少した原因については今後検討する。日本海側若狭湾久美浜、宮津湾、阿蘇海で天然マガキの貝殻に生息している種群について調べた結果、同じ種類が確認された。その種は昨年、台湾で採集した種と同種である可能性があり、遺伝子解析に基づく分類学的検討、発生様式等を含む生態学的解析を行った。また、仙台市七北田川河口域のマガキに生息する1種と、石巻市スロープに付着するマガキに生息する2種について、侵蝕状況、個体群の季節変化、生活史について追跡を継続した。これまで明らかにされた北日本の polydorids の種群について、幼生期の分類学的検討に関する論文、また、埋在性の腕足類をホストとする polydorids の新種についての論文を国際誌に発表した。
3: やや遅れている
今年度は、新型コロナウィルス感染症により、国内外ともにフィールドへの出張が限定され、予定していた調査は進めることが困難だった。
出張が可能になった後に、海外の調査については、共同研究者と打ち合わせを行いながら進める予定である。国内の調査については、宮城県を中心に、他の海域でも広く行う予定である。
新型コロナウィルス感染症により出張が不可能になり、計画通りの調査研究を行うことができなかった。出張が可能になった後に、国内外での調査研究を行う予定。
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