研究実績の概要 |
有用な貝類の貝殻に生息するスピオ科多毛類の種類について、長年にわたってカキ類の養殖が盛んな北フランス、ノルマンディのマガキに生息する種群について詳細に解析を行った。養殖、天然のマガキについては4つの養殖場、また、天然の石灰基質については2海域で採集を行ったサンプル標本を用いて、形態学的、遺伝学的、生態学的特性を解析した。その結果、8種類のスピオ科が確認され、それらは Polydora onagawaensis, P. websteri, P. hoplura, Dipolydora giardi, Dipolydora sp., Boccardia proboscidea, B. pseudonatrix, Boccardiella hamata であった。Polydora onagawaensis はヨーロッパ海域初記録であり、その他にもイギリス海峡初記録、ノルマンデイ初記録がみられた。 国内では、宮城県沿岸のホタテガイ、マガキなどの有用な貝類の貝殻に生息するスピオ科多毛類を採集し、それらの種の判別を詳細に行った。とくに、Polydora onagawaensis が多く採集され、近年報告されたアメリカやヨーロッパの個体との形態学的、遺伝学的差異について比較検討を試みた。貝殻への侵蝕状況の解析も行った。Polydora onagawaensis の有用貝類の貝殻への侵蝕状況は調べた海域では大きくなかった。本種の虫体のサイズが小さいために侵蝕状況は大きくはなく、この結果はこれまでの結果と一致するものであった。 同時に、すでにサンプリングを終えている海域のスピオ科種群について、固定サンプルを元に形態学的特性を解析した。 結果については、学会等で発表し、かつ、論文を投稿中である。
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