日本では、海洋の外来生物の半数以上は水産業を介して侵入してきたことが報告されているが、水産業を介しての生物の新たな移出入に関しては、法的規制もほとんどない。そのような現況で、有用貝類の貝殻に生息するスピオ科多毛類を使って分類学的、生物学的、生態学的研究が行われ、また、ホストである有用貝類の被害発症過程が調べられ、防除・駆除法が提案された。本研究は、人間活動により分布を拡大する生物を対象とし、それらの移動、拡散、そして生物学的特性を明らかにし、世界的規模で展開する水産業のグローバル化が及ぼす影響について解明するものである。水産業先進国であるわが国がリーダーシップをとって行うことに意義がある。
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