沿岸性カイアシ類Acartia hudsonicaにおける卵休眠の地理的変異を明らかにすることを目的として、水温環境の異なる2つの海域(大槌湾と舞鶴湾)に生息する個体群について、個体数密度と休眠卵生産の季節変化および休眠卵の生理学的特性を比較した。その結果、舞鶴湾では初夏に個体群が水柱から消失する直前に休眠卵を集中的に産むのに対し、大槌湾では個体群が周年出現し、急発卵と休眠卵を同時に産む両賭け戦略をとっていることが分かった。また、休眠卵の孵化における温度反応や休眠期間も個体群によって異なることが明らかになった。
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