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2019 年度 実施状況報告書

高精度バイオテレメトリーによるイセエビの人工種苗と天然種苗の逸散過程の比較

研究課題

研究課題/領域番号 18K05784
研究機関京都大学

研究代表者

荒井 修亮  京都大学, フィールド科学教育研究センター, 名誉教授 (20252497)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードテレメトリー
研究実績の概要

【目的】昨年度行ったバイオテレメトリーを用いた稚エビ期の人工、天然イセエビの放流追跡調査では、天然イセエビの約70%が放流後2日以内に放流地点の西側に移出したことが示唆された。一方人工イセエビは約80%が2か月の調査期間にわたって放流魚礁内に滞在した。イセエビには帰巣能力があり、放流と同時に生息地点へと移動することで放流地点から移出したことが考えられる。本研究では、放流地点の西側で漁獲された稚エビ期の天然イセエビと人工種苗の放流後の行動範囲や利用場所、移動経路を比較する。【方法】事前に飼育実験によって異常行動がないことを確認した人口個体12尾、天然個体12尾の放流追跡を、三重県志摩市の地先で2019年10月31日から2020年1月21日にかけて行った。イセエビ放流地点の魚礁付近に、一辺が約100 mの正六角形の頂点と中心となるように7台、魚礁から北西の岸沿いに約200 m間隔で4台の計11台の超音波受信機(VR2W-180 kHz、Vemco社)を深さ6―10 mの海底に設置した。供試個体の頭胸甲に発信機(V5-1H、同社)をエポキシ接着剤で装着した後、受信機近くに設置された魚礁へ供試個体を放流した。【結果】発信機を装着した個体について、人工6尾、天然6尾は放流後10日間、受信範囲内に滞在した。約80日間の実験期間を通して同範囲内に滞在した個体はいなかった。滞在日数が5日以上の個体について、人工6尾(55%)、天然5尾(63%)は日中に比べて夜間の受信時間が有意に長かった(Mann-Whitney U test、p<0.01)。岸に沿って設置した受信機のうち、最も放流地点に近いst.8でのみ3尾の信号を確認した。つき磯に放流した本実験では放流2週間後まで75%が滞在した。アワビ礁に比べて隠れ場所が多く面積の広いつき磯が天然の生息に適していると考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

飼育実験の導入によって、供試個体が極端に異常な状態にないことを確認したうえで放流追跡が可能となった。これまでの放流場所よりも定着率の高い放流場所を発見した。

今後の研究の推進方策

昨年度の放流追跡実験においては、つき磯に放流することで供試個体の定着率が高くなる可能性が示唆された。しかし、受信範囲から何処へ向かったのかはまだ不明である。このため、今年度については、昨年度と同様に室内での監視カメラによる行動計測に加えて、放流海域でのより詳細な移動を計測することを目的に受信機の台数を増やすこと、設置場所を移動方向を想定して検討を行うこと、ならびに天然種苗の捕獲地点の聞き取り調査を行う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2020

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] バイオロギングによる人工生産・天然イセエビの稚エビ期の行動比較2020

    • 著者名/発表者名
      義江健吾・竹内泰介・土橋靖史・市川光太郎・荒井修亮・三田村啓理
    • 学会等名
      令和2年度日本水産学会春季大会

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公開日: 2021-01-27  

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