研究実績の概要 |
平成30年度に確立した牡蠣へウイルス等を取り込ませる条件で以下の実験を行い中腸腺内で抗原抗体反応が起こっていること確認した。すなわち、購入した試験用マガキを小型水槽(人工海水、水温20℃)に投入し約6時間回復させた後、呼吸や排泄が確認できた個体を試験に供した。試験水槽(25L)に牡蠣6~8個ずつ分配した後、FCV 107TCDI50/mLウイルス液25mLを加え水槽全体が均一になる よう軽く混ぜたのち18時間蓄養してウイルスを取り込ませた、その後新しい人工海水に全換水し、試験群の水槽には抗FCV IgY(10mg/mL)、対照群の水槽には正常産卵鶏由来Control IgY(10mg/mL)を400mL添加し22時間蓄養しIg Yを取り込ませた。蓄養後、開殻し中腸腺を摘出した。中腸腺1個を滅菌3mmステンレスビーズおよび2mLの注射用滅菌水を含む5mLチューブに移し、細胞破砕機(Micro Smash、トミー精工,MS- 100)で4,500 rpm、15秒間の破砕を2回実施した。中腸腺破砕液の遠心上清(10,000 x g, 10分)を0.45μmの 滅菌フィルターでろ過後、ウイルス量を測定した。ウイルス量はCRFK細胞(ネコ腎細胞)を用いた50%培養細胞感染価TCID50)(培養法)およびTaqMan probeを用いたリアルタイムPCR法によるネコカリシウイルス遺伝子コピー数の測定を行なった。対照群では培養法およびリアルタイムPCR法で中腸腺当たり100~1、000個のウイルスが検出された。試験群ではリアルタイムPCR法で100~100/中腸腺検出されたが培養法では検出限界以下であった。このことから、中腸腺内に取り込まれたFCVに添加した抗FCV IgYが結合し不活化したものと考えられた。
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