研究実績の概要 |
牡蠣中腸腺内で抗原抗体反応が起こっているか確認する目的で以下の実験を行なった。平成30年度に確立した牡蠣へウイルス等を取り込ませる条件で中腸腺にネコカリシウイルス(FCV)を取り込ませた後さらに抗FCV IgYを取り込ませた。牡蠣を開殻し中腸腺を摘出し、一部はダビッドソン固定液で固定した後免疫組織染色に用いた。摘出した中腸腺を細胞破砕機(Micro Smash、トミー精工,MS- 100)を用いて破砕し中腸腺ホモジネートを作製した。中腸腺ホモジネートは、CRFK細胞に接種しウイルス力価の測定、抗Ig Y兎抗体を用いたウェスタンブロット法でFCV-抗FCV IgY複合物の検出に用いた。対照として未処理牡蠣中腸腺ホモジネートにFCVを添加した後さらに抗FCV IgYを添加した。 中腸腺へのウイルス取り込み量は100~1,000個程度であったが、ウェスタンブロット法ではFCV-抗FCV IgY複合物を検出することはできなかった。中腸腺ホモジネートに100,000個以上のFCVを添加した場合、FCV-抗FCV IgY複合物をウェスタンブロット法で検出可能であった。試験水槽へのFCV添加量を10倍にし中腸腺へのウイルス取り込み量の増加を試みたが、取り込み量は変わらなかった。抗Ig Y兎抗体を用いた免疫組織染色法では、中腸腺内のFCV-抗FCV IgY複合物の確認はできなかった。 中腸腺へのウイルス取り込み量が100~1,000個程度と少量であるため、中腸腺中のFCV-抗FCV IgY複合物が検出できなかった。
|