研究課題/領域番号 |
18K05790
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研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
野中 里佐 尚絅大学, 生活科学部, 准教授 (70363265)
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研究分担者 |
矢野 大和 国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 主任研究官 (20646773)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 遺伝子伝達 / 薬剤耐性菌 / 養殖場 / ベータラクタマーゼ / SE / ビブリオ属 / 多剤耐性 |
研究実績の概要 |
薬剤耐性菌の出現は養殖現場における古くからの問題でありその拡大には細菌間の遺伝子伝達が重要な役割を果たしていると考えられる。これまでに我々は養殖環境での薬剤耐性遺伝子伝達に関与している可能性が高い新規可動性因子SEの存在とそのユニークな分子メカニズムを明らかにしてきた。SE-6945は全長7.1 KbでありSE自身の切り出しや環状化に必要な遺伝子群の下流にベータラクタマーゼ遺伝子をコードしている。NCBIによりblaGMA-1と名付けられた本遺伝子は新規のベータラクタマーゼであることが近年明らかになった。 本年度はblaGMA-1の養殖環境細菌における分布およびこれを保有する細菌の多様性を明らかにするために日本、台湾、タイの養殖場分離株を対象として、blaGMA-1分布状況をPCRにより調査した。その結果、香川県、愛媛県および台湾の養殖環境由来細菌からblaGMA-1が検出され、それぞれの養殖環境にblaGMA-1保有菌が存在することが明らかになった。また16S rRNAの解析からこれらのblaGMA-1保有菌はビブリオ科に属する複数の種を含むことが明らかになった。一方、大腸菌を受容菌とした接合伝達実験により41株全ての株で大腸菌への伝達が確認でき、接合体の多くからはblaGMA-1とともにSE-6945、SE-Pda04Ya311が検出された。さらにblaGMA-1を受け取った接合体はアンピシリンに対する最少発育阻止濃度が元の大腸菌の250 倍から1000倍に上昇していることが確認できた。以上の結果から、日本および台湾の養殖細菌群集にはblaGMA-1が分布しており養殖環境におけるアンピシリン耐性菌の増加、拡大にはSEを介した細菌間の遺伝子伝達が関与するしていることが示唆された。
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