研究課題/領域番号 |
18K05792
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
福井 篤 東海大学, 海洋学部, 教授 (90307249)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | クサウオ科 / 駿河トラフ / 駿河湾 / Paraliparis hokuto / P. variabilidens / P. atramentatus |
研究実績の概要 |
2019年4月から2020年3月まで,駿河トラフ(水深1200-2400m)と駿河湾陸棚斜面(水深200-1000m)において,本学小型舟艇北斗(20トン)を用いて,深海近底層調査を計10曳網実施した.現在,これらの試料からクサウオ科魚類を選別中である. 2019年度では,新種としてミツバインキウオParaliparis variabilidens Murasaki, Takami and Fukui 2019およびスルガノオニビParaliparis hokuto Murasaki, Takami and Fukui 2019を記載した.スルガノオニビの論文では,併せて2018年度末にスミソニアン博物館で実施した標本観察の結果を含めて,世界で3個体目の採集記録となる駿河湾初記録の稀種インキウオParaliparis atramentatus Gilbert and Burke 1912を記載した. ミツバインキウオとスルガノオニビの識別形質は次の通りである.ミツバインキウオ:脊椎骨数67,背鰭条数62,臀鰭条数57,胸鰭条数26または27,尾鰭条数9(前起鰭条数2 を含む),幽門垂数約12,両顎歯は単一形と三葉形が混在する,眼径は頭長の18.1%,鰓孔下端は胸鰭第 2条基底の前方に達する,胸鰭は深く欠刻する,体は暗色,腹腔膜は黒色および胃は淡色. スルガノオニビ:脊椎骨数72,背鰭条数65,臀鰭条数60または61,胸鰭条数22 または23,尾鰭条数6,胸鰭の射出骨数3 で全てに欠刻がない,幽門垂数5で最長の幽門垂は頭長の約 60%,歯は脆弱で容易に曲がるか破損しやすく下顎では完全に1 列に並ぶ,下顎先端にある 1 対の感覚孔は同一の開口部をもつ,鰓蓋に皮弁がある,胸鰭基底の上端は眼の中央または下端と同一水平線上にある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
2年度目では2新種の論文を公表し,本プロジェクトで既に計4種の新種論文を公表しているため.
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今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き,駿河トラフと湾内陸棚斜面において深海近底層の採集調査を継続する.駿河トラフ湾奥の測点では,従来とは底質が異なると予想されるトラフ西側縁辺域での採集を試みる.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該助成金が生じた状況:調査予定日に海況が悪いことが多く,出港できない日が多かった(予定22回のうち12回出港できず).このため,調査に係る消耗品等の出費が著しく少なくなったたことにより,余りが生じた. 次年度の使用計画:駿河トラフの深海近底層調査を引き続き行うとともに,次年度は高知大学に保管されているクサウオ魚類標本を調査する.また,財源に余裕ができたので,クサウオ科魚類の骨格をCT撮影によって詳細に調べることとする.
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