研究課題/領域番号 |
18K05793
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
吉川 尚 東海大学, 海洋学部, 教授 (80399104)
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研究分担者 |
西川 淳 東海大学, 海洋学部, 教授 (10282732)
平塚 聖一 東海大学, 海洋学部, 教授 (20503527)
土井 航 東海大学, 海洋学部, 准教授 (70456325) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 甲殻類マイクロネクトン / サクラエビ / 栄養生態 / 生化学マーカー / 炭素・窒素の安定同位体比 / 脂質・脂肪酸組成 / 表・中・深層生態系 |
研究実績の概要 |
本研究では、生化学マーカー(炭素・窒素の安定同位体比、脂質・脂肪酸組成)を指標とし、駿河湾の甲殻類マイクロネクトン群集の栄養生態(食性と脂質成分)を調べている。これまでの研究で以下の事柄が判明している。 サクラエビは成長に伴い、炭素・窒素の安定同位体比が増加し、肉食/植食の指標である18:1(n-9)/18:1(n-7)比や[18:1(n-9)+20:1(n-9)]/[16:1(n-7)+18:1(n-7)]比が増加する傾向がみられ、餌生物をより高次栄養段階生物に変化させている可能性が示唆された。春沿岸個体と春沖合個体の間に、安定同位体比及び脂肪酸組成の結果に有意な差はなく、生息場所による明らかな違いはないことが示唆された。さらに、駿河湾産と台湾産サクラエビの脂肪酸組成には違いがみられ、脂肪酸組成に基づき、両者を判別できる可能性が示唆された。 オキアミ類のうちEuphausia属では、安定同位体比の分析結果から、春は植物プランクトンを摂餌し、夏・秋には動物食性となることが示唆された。一方、他のオキアミ類であるNematocselis属では、より低次の食段階にあることが示唆された。甲殻類マイクロネクトンの餌生物となる、より低次の動物プランクトンについても調査を行った。その結果、カイアシ類が優占した10―3月の動物プランクトン群集は、枝角類が相対的に多い4―9月の群集に比べて、窒素の安定同位体比の変動幅がやや広く全体的に高くなっており、前者の群集はやや広い食段階のメソ動物プランクトンにより構成されていると考えられた。また、肉食性カイアシ類Euchaeta属は、通常は他のカイアシ類を主な餌としているが、夏季は枝角類を捕食していたことが示唆された。 また、甲殻類や動物プランクトンの餌料である植物プランクトンの基礎生産、分類群組成のデータ解析を進めた。
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