研究実績の概要 |
本研究では、自律型海中ロボット(Autonomous Underwater Vehicle, AUV)を底生生物の資源量計測に導入して、これまでコスト・技術の両面から困難であった、海底面画像マッピングに基づいた広範囲かつ精密な生物資源量計測を提案した。従来の底生生物調査は底引き網や曳航ソリ式ビデオカメラによって行われてライトや泥の巻き上げなどの問題が生じていたが、本研究により、海底から一定の高さを保って計測することが出来るAUVを用いることにより、”場”を乱すことなく静かに接近でき、“生物たちのいつもの生活”を画像として撮影することが可能となる。また、AUVの優れた機動性により、複雑な地形でも調査ができ、さらには複数の測線を密に取ることによって面的な調査が可能となる。各種の学術的調査や、水産資源開発の議論に用いるための定量的なデータを取得することを目的とし、mmオーダーでの海底面形状と画像の取得手法、取得データの自動処理による3次元画像マッピングおよび定量的解析手法までを含めた総合的な計測システムを開発した。 開発項目としては「高精度な海底面画像スキャン技術」「3次元画像モデリング技術」「海底面画像からの特徴量抽出技術」があり、最終年度である当該年度は生物研究者からの要望を取り入れつつ、「海底面画像からの特徴量抽出技術」についてディープラーニング手法の高度化に取り組んだ。計測結果を分布図や生息数などの定量的な計測データとして提供可能なソフトウェアとしてパッケージ化した。さらに、学習終了条件の動的判定や、学習済みモデルを活かした追加学習などの機能を追加して実用性を高めた。また並行して、これまでの研究成果を学会発表や展示会にて発信した。
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