研究課題/領域番号 |
18K05815
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
細谷 将 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (60526466)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | トラフグ / 順遺伝学 / 種間差 / QTL / 初回成熟年齢 |
研究実績の概要 |
トラフグ属近縁種は人工的に交雑可能であるほど遺伝的に近縁であるが、様々な形質に種間差が認められる。その様な形質のひとつに初回成熟年齢がある。例えば、トラフグのオスは24ヶ月齢で排精を迎え、メスは36ヶ月齢で排卵を迎える。一方、近縁種であるクサフグでは、オスは12ヶ月齢で排精を迎え、メスは24ヶ月齢で排卵を迎える。本研究では、トラフグとクサフグに見られる初回成熟年齢に種間差に注目し、その差を生み出す遺伝機構を順遺伝学的手法により明らかにすることを目指した。まず、両種の交雑第2世代を用いて排精・排卵時期を調査した。その結果、オスは両種の中間にあたる18ヶ月齢頃から6か月程度の期間で排卵が認められた。このことから、両種の交雑第2世代を用いたQTL解析により、初回排精月齢に種間差を生み出す遺伝機構を明らかに出来ることが示された。一方、メスでは22ヶ月齢頃から排卵個体が認められたが、排卵に至った個体は10個体程度と少なく、排卵を基準とした解析が困難であることが示された。次に、オス個体のうち、早期に排精した個体と後期に排精した個体を用いたQTL解析を行ったところ、有意水準を超えるQTLが2つ見つかった。そのうち1つは性染色体上にあった。メスに関しては、排卵時期の代わりに卵巣重量および卵成熟と相関が認められる5sと18sのrRNA比を表現型としたQTL解析を行った。その結果、1つのQTLが見つかったが、雄の排精月齢を決めるQTLとは異なる染色体上であった。いずれのQTLも影響力が弱く、両種の初回成熟年齢の種間差は、効果が小さい多くの遺伝子に支配されていることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、QTL解析を実施し、トラフグ属近縁種の初回成熟年齢に見られる種間差を生み出す遺伝機構の一端を明らかにした。このことから、概ね順調に進展していると言える。
|
今後の研究の推進方策 |
雄の排精月齢に注目し、得られたQTL領域の配列を種間で比較することにより、原因遺伝子の存在領域の限局化を目指す。新たに作出した解析家系を利用して、再現性を確認する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
サンプルが揃わず、NGSシーケンス解析が出来なかったため。
|