研究課題
珪藻のシリカ被殻は現在の微細加工技術では合成困難なナノ微細構造を有する。先行研究および申請者の研究から、被殻に局在するタンパク質群が被殻の形成を制御していることが示唆されているが、その機構は未解明である。本研究では、申請者が被殻形成過程を捉える事に成功した中型珪藻を用いて、被殻形成に伴う形成関連タンパク質の動態を解析することで、タンパク質によるシリカ被殻形成制御機構を明らかにすることを目的とする。本年度までに、珪藻種間の網羅的な遺伝子比較解析、被殻局在タンパク質のプロテオーム解析および遺伝子発現解析を行い、Nitzschia属珪藻の被殻形成関連候補タンパク質を同定した。さらに、Nitzschia属珪藻について、ゲノム中に遺伝子が導入された薬剤耐性クローンの取得に成功した。しかし、獲得したクローンには薬剤耐性遺伝子と共に導入したGFP遺伝子由来の蛍光は確認されなかった。上記薬剤耐性クローンからタンパク質を抽出し、抗GFP抗体を用いたウエスタンブロッティングを行った結果、GFPの発現は確認されなかった。さらに、薬剤耐性クローンからRNAを抽出し、GFP遺伝子の転写産物量を定量した結果、GFP遺伝子の転写産物量は薬剤耐性遺伝子の転写産物量の0.3倍以下であることが示された。上記結果より、GFP遺伝子および薬剤耐性遺伝子にNitzschia属珪藻由来の同一のプロモーターを使用したことで、遺伝子発現の抑制が起こったことが示唆された。上記研究により、Nitzschia属珪藻の遺伝子組換え系確立に向けて解決すべき課題を明らかにすることができた。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)
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