研究課題
基盤研究(C)
本研究では、クルマエビを対象にしたトランスクリプトーム解析により、ILP-1、ILP-2、ゴナデュリン (GON) というインスリン様ペプチドを見出した。成体を用いた解析では、ILP1は卵巣、ILP2は精巣、GONは輸精管というように、生殖腺において遺伝子発現の性的二型や部位特異的発現がみられた。一方、ポストラーバ変態後74日までは、遺伝子発現における明確な雌雄差は確認できなかった。ILP1と2は、卵巣や肝膵臓での卵黄タンパク質の発現に影響を及ぼさなかった。
内分泌
インスリンファミリーは多機能なペプチドであり、特に脱皮動物のグループではエネルギーと生殖とをリンクする制御系を構成していると考えられる。本研究では、クルマエビで見つかった3種類の新規インスリン様ペプチドが、雌雄の生殖腺で特徴的な発現様式を示すことを示した。生殖や栄養状態の制御に関わる直接的な知見は得られなかったものの、血中グルコース濃度との関連など、今後栄養と生殖との関係をより深く理解するための基礎的知見を集積することができた。