研究実績の概要 |
本研究の目的は、線維芽細胞のコラーゲンを増やすオリーブ葉成分の特定と、その成分が線維芽細胞にいかに作用してコラーゲンを増やすのか、そのメカニズムを解明することである。実験計画【Ⅰ】~【Ⅲ】のうち、今年度は、【Ⅱ】について、ヒト線維芽細胞(KMST-6)を用いて、精製したOleuropein、Luteolin-7-glucoside、Verbascosideが細胞のコラーゲン生成量を増やすのか調べた。25 ppmのオリーブ葉抽出液を添加すると、線維芽細胞が産生する可溶性コラーゲン量は5.2倍に増えたが、抽出液の主要ポリフェノールであるOleuropein、Luteolin-7-glucoside、Verbascosideをそれぞれ10uM添加したときにはコラーゲン量の増加は見られず、成分の特定には至らなかった。上記の主要ポリフェノール以外の成分によって、あるいは複数の成分の相互作用によってコラーゲン産生量の増加が引き起こされるものと推測された。【Ⅲ】のコラーゲン増加メカニズムについては、コラーゲン代謝に関わる遺伝子(COL1A1, COL3A1, P4HA1, PLOD1, SERPINH1, SLC7A11, MMP1, MMP9, TIMP1, TGFB1)の発現量をRT-qPCR法により調べた。コラーゲンの合成に必要なCOL1A1、PLOD1、SERPINH1の発現量は有意に上昇した。また、COL3A1の発現量も上昇傾向を示した。これに対して、コラーゲンの分解に関わるMMP1, MMP9については減少傾向がみられた。これらの結果から、オリーブ葉抽出物はコラーゲン合成の促進とコラーゲン分解の抑制の両方に関与し、複合的に細胞のコラーゲン産生量を増大することが示唆された。
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