研究実績の概要 |
本年度は、昨年度に引き続き、細菌数の測定方法の検討を行った。また、塩辛作製に用いる食塩の種類が作製されたイカ塩辛の細菌叢に及ぼす影響を検討した。すなわち、塩田天日塩を再結晶化した食塩(天然塩)と塩化ナトリウム(精製塩)を用いて、異なる塩分で塩辛の作製を行い、塩の違いや発酵に伴うによる細菌叢および遊離アミノ酸含量の変化を検討した。また、高塩分区では、糀を添加したときの変化も調べた。 細菌数の測定方法の検討では、0.1 gのイカ塩辛液状部を8.5% NaCl溶液1mlに懸濁した。この懸濁液を8.5% NaCl溶液にて10,000倍に希釈し、グルタルアルデヒドを用いて固定し、4',6-diamidino-2-phenylindole染色した後、蛍光顕微鏡を用いて計数した。その結果、精製塩糀非添加区塩辛の液状部において1.81×1010 cells/gの細菌が確認された。この方法により、発酵に伴う細菌数の変化を検出できるようになった。 塩漬け前の細菌叢は試験区によって異なったが、塩漬け後では、いずれの試験区においてもMycoplasma属が優勢となった。低塩分区では、食塩の種類によらず保蔵に伴う細菌叢の大きな変化は認められなかったが、Pseudomonas属が増加する傾向が認められた。一方、高塩分区ではMycoplasma属が優勢であったが、常温熟成に伴い、Staphylococcus属が増加する傾向が認められた。また、糀添加区ではStaphylococcus属の増加が顕著であった。 イカ塩辛液状部中の遊離アミノ酸含量は、低塩分区ではいずれの食塩でも保蔵に伴う大きな変化は認められなかった。一方、高塩分区では、グルタミン酸やアスパラギン酸などの呈味に関わるアミノ酸を含む遊離アミノ酸含量の増加が顕著であった。
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