本年度は、GAPの国際市場に関して、特にGFSIスキームの一つであるASIAGAP認証が、国際認証として海外市場で発展していく際の課題について整理している。 ただし、COVID-19で遅延していたため断念していた海外市場調査に関しては、今年度も実施することが難しいと判断し、オンラインでの調査に切り替えている。 日本GAP協会の情報によると、2022年3月時点で海外においてASIAGAP認証を取得している農家はなく、JGAP認証を取得している農家は4件と非常に限られていることがわかる。そこで、海外のGAP市場についてオンラインによる聞き取り調査を行った結果、以下のことが明らかとなった。1)特にアジア圏では、それぞれの国でGAP認証を構築しているケースが多く、自国のGAP認証については生産者・消費者共にある程度の知識はあるものの、ASIAGAPに関する認知は非常に低い。これには、ASIAGAPの国際認証としてのメリットが明らかでないことが関与している。2)最近年の状況で言えば、COVID-19の影響で国内の物流自体が硬直しており、認証には目が向けられていないことがある。一方で、GLOBALG.A.P.の事例でみられるように、認証ビジネスとしての運営にも課題があることが明らかとなっており、「認証」の価値を再検討する必要が指摘される。 輸出をしている食品製造業への聞き取り調査からは、GFSIスキームが有効に機能しており、「食の安全」に関する手続きの簡略化ができているとの報告もある。今後、物流が再度活発になると考えられる中で、ASIAGAP認証が国際認証の中で差別化されるようなメリットをいかに提示していくかが求められている。 以上の成果については、現在取りまとめ中である。
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