輸入小麦政府売却方式・国産小麦取引方式における規制緩和は,大手製粉企業と中小製粉企業の双方の経営行動に影響を与えている。大手製粉企業は製粉原料の大宗を輸入小麦に依拠する体制を維持しつつ,工場の集約化によって価格競争力の強化を図り,国内での小麦粉販売シェアを確保しようとしている。一方,中小製粉企業は小規模になればなるほど製粉原料を地場産小麦に依拠する度合いが高くなる傾向があり,地場産小麦使用と石臼引きという特徴ある小麦粉を前面に打ち出すことによって小麦粉の販売競争に対応しようとしている。規制緩和の下,様々な要素が絡み合って製粉業界の再編が進行している。
|