研究課題/領域番号 |
18K05843
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 直樹 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40594487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小規模経営 / 家族経営 / 農業経営 / マーケティング戦略 |
研究実績の概要 |
アメリカ合衆国における、小規模経営、家族経営による農業および関連産業のマーケティング戦略について、聞き取り調査等を実施した。本研究において調査対象とした小規模経営、家族経営の農業経営は、現在、アメリカ合衆国に185万経営体存在するとされており、同国における農業経営体数の大半を占めている。その中でも、特に付加価値の高い農産物を生産、販売する農業経営者を対象とした。また、農業に関連する食品産業としてクラフトビール産業を対象に、家族経営クラフトビールメーカーのマーケティング戦略についても調査を行った。アメリカ合衆国では1980年代中ごろからクラフトビールメーカーの数が急激に増加しており、各地に大小さまざまなクラフトビールメーカーが存在している。その多くは、巨大なナショナルブランドビールに対抗するためニッチ戦略を採用しており、家族経営におけるマーケティング戦略の優良事例として捉えることができる。 本研究の調査から、アメリカ合衆国における小規模経営、家族経営のマーケティング戦略の特徴について以下の点が示唆された。小規模経営、家族経営における意欲的な経営者の多くが、Facebookを中心としたSNSを活用し自経営の認知や、消費者からの共感を高めようとしていた。その中では、ナショナルブランドをはじめとした大企業に劣りがちな価格面でのデメリットを打ち消すだけの、品質もしくは社会的価値(あるいはその両方)のメリットをアピールし、それに共感する消費者を顧客ターゲットとしていた。この社会的価値は、特に地域社会(Local)や環境(Ecology)の占める割合が高い。このため、地域社会とのつながりを重視する経営者が多い。さらに、SNSと並行して消費者が参加できるイベントによる顧客の囲い込みも重視される傾向があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた通り、アメリカ合衆国における小規模経営、家族経営の農業経営のマーケティング戦略について、調査を実施した。 また、それに加えて研究目的を達成するために、クラフトビールメーカーのマーケティング戦略を調査することができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本における、農業経営のマーケティング戦略ならびにクラフトビールメーカーのマーケティング戦略を調査し、日米比較を通じた考察を行う予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた、人件費謝金の支払いが必要なかったため、次年度使用額が生じた。生じた次年度使用額は、調査のための国内旅費または国際学会参加等のための海外旅費として使用する計画。
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