研究課題/領域番号 |
18K05843
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 直樹 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40594487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 小規模経営 / 家族経営 / 農業経営 / マーケティング |
研究実績の概要 |
日本における、小規模経営、家族経営における、コンセプト提案型マーケティングの実践に向けた女性経営者の役割について、聞き取り調査などから明らかにした。 まず、本研究において聞き取り調査を行った女性経営者の多くが農家子弟であったが、学生時代から就農を意識していた事例は少なく、結婚や子育てなどの卒業後のライフステージの変化を契機に就農する事例が多かった。経営者としての特徴として、特に雇用型経営においては、従業員の多くが女性で経営者と同姓であることから、家事育児と両立しやすい労働環境の整備を意識する経営者が多かった。具体的には、化粧室の整備やシフト変更への柔軟な対応などである。また、部会組織などのようなフォーマルなネットワークへの参加と合わせて、近隣の女性同士のインフォーマルなネットワークの活用が多く見られた。以上のような特徴から、女性経営者の中には利潤追求以外の社会的な価値実現を経営理念として掲げる者が一定程度見受けられた。さらに、ファーマーズマーケットや6次産業化による加工食品の販売などを通じて、直接消費者と交流を持つ経営者も多く、積極的なコミュニケーション活動によって認知度の向上や、自身が提供する価値に対する顧客の理解促進を図っていた。社会的な価値を経営理念とすることや、顧客との積極的なコミュニケーション活動など、コンセプト提案型マーケティングに必要と考えられる活動を、女性経営者が積極的に行っており、その役割は大きいものと示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度末のコロナウィルス感染拡大に伴い、予定していた聞き取り調査を延期している。
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今後の研究の推進方策 |
日本および米国における、家族経営農業経営者への聞き取り調査を継続し、コンセプト提案型マーケティングの有用性について明らかにする。コロナウィルスの感染状況に応じて、電話やビデオ会議等を使用した調査も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの感染拡大に伴う聞き取り調査の延期と、当初予定していた人件費謝金の支払いが必要なかったため。
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