研究課題/領域番号 |
18K05843
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
杉田 直樹 宇都宮大学, 農学部, 准教授 (40594487)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 小規模経営 / 家族経営 / 農業経営 / マーケティング / 電子商取引 |
研究実績の概要 |
コロナウィルス感染症拡大により、農産物等のマーケティングも大きな影響を受けた。感染拡大防止のために外出が規制されたことにより、農産物の電子商取引の普及が進んだ。 本研究では、家族農業経営における農産物の電子商取引の実態と課題、マーケティング戦略をインタビューおよびアンケート調査より明らかにした。 農業経営において、電子商取引は販路および売り上げの確保だけでなく、モチベーションの向上や生産品目や生産方法の決定に影響を及ぼすなど、副次的な効果を発揮していた。その大きな理由は、電子商取引を通じて消費者の反応を直接受け取るコミュニケーションが挙げられる。電子商取引を通じた消費者とのコミュニケーションは、消費者の信頼確保にもつながる。ただし、家族経営においては、情報発信や消費者とのやりとり、電子商取引に必要な発送作業等の業務が、従来の農業生産とは別に必要となり、労働力不足が課題となるケースも散見された。電子商取引のための人材確保が課題解決の1つの方法ではあるものの、経営者もしくは生産者自身の情報発信やコミュニケーションが、顧客との信頼確保に効果的な側面もあり、経営内部における労務管理が重要となることが示唆される。 コロナウィルス感染拡大以前から電子商取引に取り組んでいた農業経営者に比べ、新たに電子商取引に取り組み始めた農業経営者は、経営成果を上げることが困難であった。従来から電子商取引に取り組んでいた農業経営者が、固定顧客を確保していることなどの要因に加え、新たに電子商取引に取り組み始めた農業経営者は、消費者とのコミュニケーションが不十分だったり、他との差別化や販売時のプロモーション(写真やコメントなど)に不慣れな点が大きな課題であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染拡大にともない、当初予定していたインタビュー調査の実施が困難なため。
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今後の研究の推進方策 |
インタビュー調査の実施を再度検討するとともに、アンケート調査など調査研究方法の変更も検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたインタビュー調査および学会参加のための旅費が、調査や学会の中止によって繰り下げとなったため。
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