研究実績の概要 |
本研究は、Twitterデータの定量的テキスト分析を通じて、COVID-19が日本における農産物の電子商取引による直接販売(以下、農産物電子商取引)に与えた影響を明らかにすることを目的とした。COVID-19は、消費者と生産者の認識の間にギャップを生じさせたと考えられる。このような認識のギャップは、直接電子商取引においても、いくつかの市場問題につながることが知られている。 本研究は、2つのステップで実施した: (1)日本語の農産物電子商取引に関連するTwitterデータをTwitter APIを用いて収集し、(2)定量的なテキスト分析により、トレンドや内容、キーワードを把握した。COVID-19の発生前後(2020年)の動向を把握するため、2019年から2021年にかけて、Retweetを除いたオリジナルTweetを合計84,529件収集した。 本研究では、樋口(2004)が開発した「KH Coder」というPCプログラムを使用した。分析では、頻出単語の抽出、ツイート内で類似した出現パターンを持つ単語をグループ化するための階層クラスター分析、単語間の関連性を探るための自己組織化マップの作成を行った。 本研究により以下の結論を得た。生産者は、農産物電子商取引を通じて、自分たちの製品を宣伝・販売し、人々に支持を求めようとしていた。一方、農産物電子商取引を利用する消費者は非常事態宣言下で増加していた。消費者は、農家から直接購入することで農家を支援しようとし、また、送料無料や無料ギフトに惹かれて農産物電子商取引を利用していた。農産物電子商取引市場の継続的な成長と拡大を促進するためには、送料無料や無料ギフトなどのプロモーション戦術の継続が必要であると考えられる。前述の通り農産物電子商取引は非常事態の下で急成長したが、それ以前は、ニッチなオーガニック市場であった。
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