研究課題/領域番号 |
18K05852
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研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
木立 真直 中央大学, 商学部, 教授 (10224982)
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研究分担者 |
佐藤 和憲 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355601)
清野 誠喜 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90225095)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 取引方法 / 流通チャネル / 加工・業務用需要 / スポット的取引 / 継続的取引 / 中食企業 |
研究実績の概要 |
2019年度は以下の通り研究活動を行った。 第1に、加工・業務用青果物の主な流通チャネルの特徴を把握するために、加工・業務用青果物流通に関与する代表的ないし先進的な事業者へのヒアリング調査を実施した。とくに、大手コンビニエンスストアに対し中食食品を供給する最大手ベンダーの1社のヒヤリング調査を行った。大手ベンダーに対する調査研究は、矢作敏行(1994)の優れた研究成果があるものの、その後の見るべき調査研究はなく、貴重なヒヤリング調査となった。この成果は次に述べるアンケート調査を実施する上でも貴重な基礎データとしても位置付けられるものである。 第2に、2018年度と同様、加工・業務用青果物の流通事業者、あるいはより広く青果物流通全般さらには最新の流通・消費の動向に明るい専門家を招いて、専門的知識の提供を受けながら討論を行った。 第3に、生産者や中間流通企業、外食や中食企業などに対するアンケートの実施に向けて作業を進めた。各事業者に対し、品目・用途別に、交渉方法、価格決定、数量決定、取引期間、代金決済方法、生産方法の特定化、ペナルティ、などの調査を行い、得られたデータを多変量解析などにより定量的に解明するための基礎的な準備作業をほぼ終えた。 実際にアンケート調査を実施するにあたり、これまで中食企業の食材調達に関する調査研究成果がきわめて不足している研究状況を踏まえ、中食企業に対するアンケート調査を優先的に実施することとした。2019年度後半に、中食関係業界団体に対し、調査への協力依頼を行い、同団体から全面的な協力を得られることとなった。最終的な調査設計を進めるとともに、2019年度内に調査を実施する段取りの打合せ作業を行っていたところであった。しかしながら、その後、新型コロナウイルスの蔓延を受けて、年度内の実施は困難となり、2020年度に見送ることとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理由 当初の計画に沿って、代表的かつ先進的な事業者に対するヒヤリング調査を実施し、それぞれの分野の専門家を招き研究会を複数回、開催することで、加工・業務用青果物の流通実態と最近の動向を全体的に把握することができた。これにより、加工・業務用青果物の取引方法とその規定要因についての仮説のさらなる精緻化を図り、これによりアンケート調査を設計にとって有益な知見を得ることができた。 ただし、アンケート調査の実施については、新型コロナウィルスの蔓延により、事業者がそれへの対応に追われる中、その推移を見守りつつ実施することとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
加工・業務用青果物流通において採用されている取引方法とその規定要因を明らかにするため、生産者・生産者団体、加工食品企業、中間流通企業、外食・中食企業などへのヒヤリング調査を、引き続き実施する。 とくに、既存研究がきわめて限られる中食企業へのヒヤリング調査を継続的に行う。 アンケート調査については、まずは延期となっている中食事業者に対するアンケート調査票を完成させ、業界団体とも調整の上、アンケート調査を実施する。それ以外の生産者や中間流通主体に対するアンケート調査の実施については、事業者の新型コロナ対応の状況を踏まえつつ、慎重に進めることになる。 研究成果の公表も並行して行う予定であるが、新型コロナの影響により学会の中止も相次いでおり、可能なかぎり早いタイミングでの学会での公表を目指す。あわせて、最終年度の研究成果の総括を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度中に実施を予定していたアンケート調査の実施が2020年度に延期となったため。
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