研究課題/領域番号 |
18K05861
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
牧野 友紀 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50455862)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 東日本大震災 / 問題解決の共同 / 営農生活 / 女性農業者 / グリーンツーリズム / 食と農 |
研究実績の概要 |
2018年度は、被災農村の特性や災害による生業構造の変動に関わる先行研究と災害の被害および復興の状況に関する統計資料を分析することを通じて、本調査研究の分析枠組みを構築した。さらに(1)被災地域の農民は震災後どういった生業―生活問題に直面してきたのか、その解決に当たりどのような行動をとってきたのか、(2)家族や他の農家が抱える問題に対してどのように行動したのか(3)問題の解決行動を通じて営農生活のどういった部分が変わったのか、ということを本研究のリサーチクエスチョンとして立て、その解明にあたって調査対象となる農民集団を福島県南相馬市および岩手県陸前高田市を調査対象地域から選定し、第一次資料の収集を行うとともに現地でインタビュー調査を実施した。 今年度は、女性の農業者集団による問題解決活動の特徴をケーススタディ手法によって考察した。その結果、彼女らの問題解決活動においては、問題状況の共有と意思決定の協働という二つの共同関係が重要であることが解明された。そのような問題解決の共同性の特質と意義に関わる研究成果については、第六回アジア農村社会学会国際会議”“Practice of Female Farmers in the Process of Recovery from Tsunami and Nuclear Disaster- Case Study of MinamiSoma City, Fukushima Prefecture”および論文「東日本大震災後のグリーン・ツーリズムと農ある生活の再構築―福島県南相馬市を事例として―」において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年度は、調査研究の分析枠組みを構築するとともに、現地調査を行うことで第一次資料の収集および調査対象集団を選出した。加えて、ケーススタディ手法に基づくインタビュー調査を通して女性の農業者集団における問題解決活動の特質を抽出することができた。この研究成果を国際学会で報告するとともに、論文にまとめ公表することができた。 また、食と農の学習会活動の開催にあたって関係者との調整を行い、予定通り次年度実施に向けた準備を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、引き続き既存研究の検討や地域営農状況の統計的把握を行い、分析枠組みの修正を図る。また、昨年同様、現地調査を実施し、問題解決活動における農業者集団の特性を類型化する。そのためには、比較対象とすべき集団を新たに選出する必要がある。これらの研究活動で得られた知見を積極的に学会で報告し、フィードバックを得る。さらに、研究協力者の協力を得て、食と農の学習会活動を現地で開催する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者との学習会活動実施に向けた打合せを、現地調査と合わせて行ったため旅費が減じた。その費用分については、比較検討のため新たに追加したインフォーマントへの現地インタビュー調査に使用する予定である。
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