研究課題/領域番号 |
18K05868
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
駄田井 久 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60346450)
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研究分担者 |
二階堂 裕子 ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (30382005)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 中山間地域 / 農業部門間の連携 / 持続的な社会 / 農福連携 / エシカル |
研究実績の概要 |
2018年度は,農業・農作業のメンタルヘルス的な効果にこだわらず,多面的な機能の役割と評価に関して調査・研究を実施した。 特に,農業部門間の連携による効果の計測を実施した。畜産クラスター事業の構築が全国で推進されている.この畜産クラスター事業では様々な取り組みがなされているおり,その一つに地域内耕種農家との連携により,稲WCSや飼料用米などの自給飼料の生産が挙げられる.この活動は,畜産側には自給飼料生産による飼料コスト削減や生産された畜産物の高付加価値化などが期待される.耕種側には,農家の高齢化により作付け・管理が困難となった水田等に稲WCSや飼料用米を作付することにより,耕作放棄発抑制効果などが期待される.本研究では,畜産クラスター事業の主体の一つである鳥取県Aコントラクター(以下,Aコントラ)を対象として,インタビュー調査から,コンタラクターと地域農業との関係の整理を行う.また,農林業センサスデータを用いて,Aコントラ活動の耕作放棄抑制効果等への影響を検討した. また,都市住民の農業の有するメンタルヘルスに関する意識調査の一環としてフードロスに関する大学生を対象とした意識調査を行った。本研究では年齢や生活形態などの「個人属性」が類似している大学生を対象とアンケート調査データを用いて,食品ロス削減行動と「食品ロス認識」との関係性を明らかにすることを目的とする。調査は,2017年12月から2018年1月の間に岡山市内の5つの大学・短期大学の学生にアンケート形式で実施し,有効回答数460を得た。「自身が行っている食品ロス行動(7種類)」,「食品ロスに関する意識(6項目)」,「自身の食品ロスに関する経験(4項目)」,「食費ロスに関する知識(4項目)」を設定し,頻度や程度を各5段階で把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定の農業の持つメンタルヘルス効果に関しては,2019年度のフィールド調査実施に向けて体制を概ね作り上げることができた。体制づくりの中,「メンタルヘルスの定義」と「その効果の計測方法」が大きな課題となった。そのため,(狭義の)「メンタルヘルス」のこだわらずに,「エシカル」や「持続的な社会の構築」も含めて調査・研究を実施することになった。また,国内のみならず海外,グローバル化・過疎化高齢化が進行していくであろう途上における農業の意義・価値も重要であり,その価値も計測も行う必要性がある。
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今後の研究の推進方策 |
メンタルヘルスの効果に限定せず,「エシカルな価値」を創出できる農業の在り方・役割を検討していく。具体的には,1)農業が継続されることによる中山間地域社会の維持や資源管理の効果の把握とその価値の計測,2)農業と福祉の連携による社会・経済的付加価値創出・循環効果の計測,3)途上国(主にベトナム)の農村地域における環境保全型農業による地域マネジメント効果の計測を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2018年度に予定したフィールド調査等が豪雨災害等の影響で実施できなかったので,2019年度以降に繰り越しになったため。
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