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2019 年度 実施状況報告書

メンタルヘルスフィールドとしての中山間地域農業の可能性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K05868
研究機関岡山大学

研究代表者

駄田井 久  岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (60346450)

研究分担者 二階堂 裕子  ノートルダム清心女子大学, 文学部, 教授 (30382005)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード中山間地域 / 道徳的消費 / エシカルな価値 / 環境保全型農業
研究実績の概要

2019年度も昨年度に引き続き農業・農作業のメンタルヘルス的な効果にこだわらず,多面的な機能の役割と評価に関して調査・研究を実施した。
岡山県真庭市を対象に,1)住民の液肥利用農産物の評価,2)バイオマス利活用の循環システムに関わることによる住民意識の醸成効果について明らかにする。選択型実験を適用し,住民の液肥利用作目への評価を計測した結果,液肥利用農産物を通常の農産物よりも高く評価(1/2カットの白菜21円)をしていたことが明らかとなった。一方で,真庭市産であることに対しては評価をしていなかった。「バイオマス産業都市」である真庭の知名度を活かしての「真庭市の産液肥利用農産物」ブランド化が課題になると考えられる。
住民の家庭系生ごみのバイオマス利活用と住民意思との関係に関しては,関りが無い住民の方が,関りがある住民よりもいずれの意識(環境問題意識,エネルギー問題意識,地産地消意識,地域愛着,バイオマス利活用事業のイメージ)も高い傾向にあった。その要因としては,家庭系生ごみのバイオマス利活用には,各家庭での生ゴミの分別・搬出が必要。ベトナム中部沿岸に位置するテュアティエン=フエ省では,TG-CHラグーン)周辺でエビ養殖が盛んに行われてきた。この地域では,エビ養殖池の増加により,TG-CHラグーン周辺のマングローブ林の違法伐採や池からの排水による海水質汚染が大きな問題となった。この様な集約的なエビ養殖は,Monocultureと呼ばれ,エビ単一種のみの養殖方法である。一方で,複数の異なる種(エビ・カニ・魚・海藻など)を一つの池で養殖するPolyculture(複合養殖)が環境への影響が少なく,持続的な養殖方法であるとされている。本研究では,エビ養殖農家のへのインタビュー調査を実施し,Polyculture養殖普及の過程と現状を整理し,今後の課題を考察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度同様に,タルヘルスの定義」と「その効果の計測方法」が大きな課題となった。そのため,(狭義の)「メンタルヘルス」のこだわらずに,「エシカル」や「持続的な社
会の構築」も含めて調査・研究を実施することになった。また,国内のみならず海外,グローバル化・過疎化高齢化が進行していくであろう途上における農業の意義・価値も重要であり,その価値も計測も行う必要性がある。

今後の研究の推進方策

メンタルヘルスの効果に限定せず,「エシカルな価値」を創出できる農業の在り方・役割を検討していく。具体的には,1)農業が継続されることによる中山間
地域社会の維持や資源管理の効果の把握とその価値の計測,2)農業と福祉の連携による社会・経済的付加価値創出・循環効果の計測,3)途上国(主にベトナ
ム)の農村地域における環境保全型農業による地域マネジメント効果の計測を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルス感染症のために2020年3月に予定してた調査がキャンセルされたため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] ベトナム中部の環境保全型エビ養殖の展開と課題―フエ省Tam Giang-Cau HaiLagoonのPolyCulture養殖を対象として―2019

    • 著者名/発表者名
      駄田井久,Tran Hong Hieu,竹内千穂,東口阿希子,横溝功
    • 学会等名
      農村計画学会2019年度春期大会
  • [学会発表] 中国食品輸出企業における経営者の安全意識に関する研究2019

    • 著者名/発表者名
      王偉安,駄田井久,東口阿希子,横溝功
    • 学会等名
      農村計画学会2019年度春期大会
  • [学会発表] 家庭系生ごみのバイオマス利活用が住民意識に与える影響の分析―岡山県真庭市を事例として―2019

    • 著者名/発表者名
      駄田井久,山内淳也,東口阿希子,横溝功
    • 学会等名
      2019年度日本農業経営学会研究大会
  • [学会発表] 日本の技能実習経験に対するベトナム人若年層の「希望」とその「評価」2019

    • 著者名/発表者名
      駄田井久,二階堂裕子
    • 学会等名
      第92回日本社会学会大会
  • [学会発表] 中国・四川省の高地におけるヤク酪農産業の現状と課題2019

    • 著者名/発表者名
      駄田井久,阿比亜斯,胡 思聪,東口阿希子,横溝 功
    • 学会等名
      第69回地域農林経済学会大会
  • [学会発表] The System and Function of JA: Japan Agricultural Cooperatives -A Positive Side and Negative Side-2019

    • 著者名/発表者名
      Hisashi DATAI
    • 学会等名
      The 8th International Conference on Economy and Society Sustainable Development of Mongolian Highland Pastoral Area
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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