楕円形の管に内圧が作用すると、断面を真円に近づけるような変形が生じるとされている。たわんだ管の断面形状を単純化して楕円とみなし、3Dプリンターで供試体を作製、外から水圧を作用させる実験を行った。その結果、供試体には楕円をさらに押しつぶすような変形が生じ、その挙動はFEM解析でも再現された。外からの水圧で生じる変形は、内圧による変形と同じ大きさで逆向きとなるため、パイプラインの通水時に内圧が作用することで、埋設時に生じたたわみが復元することがこの実験と解析でも確認できたと言える。 続いて内圧によってたわみが解消する量の定式化を目標として、楕円断面を持つ管に内圧が作用した際の変形をフレーム解析で求めた。断面に生じる変形は曲げによるものと伸びによるものに分けられることから、それぞれを分離して得られるような解析とした。その結果、伸びによる変形では楕円のうち曲率が平均値より大きい領域が楕円の内へ、平均値より小さい領域が外へ変位し、楕円が全体として真円へ近づくように変形することがわかった。一方伸びによる変形では、断面が全体的に外へ変位し、長軸端で変位量が最大、短軸端で最小となった。しかし長軸端と短軸端の変位量の比が、長半径と短半径の比を下回ったことから、伸びによる変形によっても楕円は真円に近づくことが明らかになった。 これらの変形を表す数値として長半径と短半径の変化に着目し,フレーム解析の結果に重回帰分析を適用して,内圧,弾性係数,長短半径,管厚と,長短半径の差の間に成り立つ微分方程式を誘導した.これを解いて得られた基礎方程式は内圧の指数関数となり,長半径と短半径の差が内圧の増加によって指数関数的に減少して0に近づくことが明らかになった.
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