| 研究課題/領域番号 |
18K05887
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| 研究機関 | 鹿児島大学 |
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研究代表者 |
籾井 和朗 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 教授 (40136536)
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| 研究分担者 |
肥山 浩樹 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (10208788)
竹内 真一 東海大学, 海洋学部, 教授 (30268817)
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| 研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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| キーワード | 蒸散量 / ヒートパルス法 / 基準作物蒸発散量 / FAOペンマン・モンティース法 / 土壌水分 / 島嶼域サトウキビ圃場 / 琉球石灰岩風化土 / 蒸発位 |
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| 研究実績の概要 |
本年度は，沖縄県糸満市照屋（北緯26.1346度，東経127.6819度）のサトウキビ現地圃場（大きさ56m×57m）において，気象（気温，湿度，風速，気圧，短波放射，降水量），土壌水分（深さ5，15，25，35，50，70cm），および圃場内の小区画4.8m×4.8mのサトウキビ総数233本の平均茎直径25mmに相当するサトウキビ6本の茎内流量を観測し，亜熱帯気候帯における琉球石灰岩風化土の条件下でのサトウキビの蒸散量，大気蒸散要求量および土壌水分動態について検討した。まず，現地圃場の小区画内2本のサトウキビに対してはポトメーター法を適用し，ヒートパルス法による蒸散量直接測定に必要なサトウキビ固有の検定係数a= 1.37を求めた。この値を用いて現地圃場の蒸散量Tの推定を行った。観測期間2018年8月9日から9月12日の35日間において，日蒸散量の最大値は8月19日の5.4 mm/d，観測期間の平均値3.4 mm/dを得た。次に，気象データに基づいた大気蒸散要求量として，FAOペンマン・モンティース法による基準作物蒸発散量ET0およびペンマン法による蒸発位を算定するルーチンを構築した。観測期間中のペンマン法の蒸発位は，基準作物蒸発散量の約1.2倍となった。観測期間中のサトウキビ群落内部（圃場内）の短波放射量は，圃場外（サトウキビ上端に相当）の短波放射量と比較して，日平均値では，最大で約77%，最小で約32%，平均して約55%，減光されていることが分かった。基準作物蒸発散量ET0は，蒸散量が最大となる8月19日で4.0 mm/dであり，期間平均値は3.2 mm/dであった。また，観測期間中のデータ総数35個により，サトウキビの蒸散量T=1.07×ET0（決定係数0.81）の関係を明らかにした。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
沖縄圃場に埋設した小型誘電率型土壌水分計により，土壌水分鉛直分布の時間変化を求めたが，水分計と定容積土壌サンプリングの値に不一致がみられ，水分計の検定を含めて，沖縄圃場での再検討を次年度実施する。さらに，沖縄の琉球石灰岩風化土の土壌水分特性を定量化し，得られた生長阻害水分点に基づいて，サトウキビの水ストレス状態を評価する。以上の検討項目は，次年度以降対応可能であり，当初計画した初年度の検討項目は，概ね達成した。
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| 今後の研究の推進方策 |
2019年度以降，沖縄圃場（琉球石灰岩風化土，北緯26度），沖永良部島圃場（和泊町実験農場，琉球石灰岩風化土，北緯27度），および種子島圃場（鹿児島県農業開発総合センター熊毛支場，火山灰土，北緯30度）での気象・観測データを収集し，3つの島嶼域サトウキビ圃場の蒸発散量に関して，以下の4項目を主に検討し，国内でのサトウキビの計画日灌水量としての値3mm/dは，学術的に妥当な数値であるのか？，および島嶼域の気候・土壌条件下で統一的に扱うことができるか？の問いに対し，農業水文学的研究を推進する。まず，①2018年度の沖縄圃場における基準作物蒸発散量ET0と蒸散量Tの関係式（T=1.07×ET0）の再現性を，2019年度，再度，沖縄圃場で検討する。次に，②他の島嶼域（種子島，沖永良部島）圃場への適用性について検討する。さらに，③土壌水分状態から判定したサトウキビ水ストレス下の蒸散量を除去した場合の関係式を検討する。最後に，④ポトメーター法によるヒートパルス法の検定係数（a=1.37）の再現性を，沖縄圃場で検討する。なお，水ストレス状態の評価は土壌水分状態に基づいて行うが，観測機器による土壌水分自動計測に問題があるときは，新たな指標（例えば，サトウキビ葉温）に基づく水ストレス評価の可能性について検討する。
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