夏季にアオコが発生し、管理者が対応に苦慮しているダム湖を新たに調査対象として追加し、現地観測を2022年6月~10月の間に計5回実施し、集水域調査、流入水の連続調査、ダム湖内の水質環境調査等を実施した。その結果、集水域内の主たる負荷排出源として畜産があり、降雨時には栄養塩類の流入があり得ること、野生動物が生息しており負荷排出源の可能性となること等が明らかとなった。ダム湖の水位は、これまでと異なる管理が実施された。これは、利水用のダム湖を利用した流域治水の取り組みが開始されたためであり、水収支のモデル作成において過去の管理事例があまり参考にならなかった。 ダム湖では、7月上旬、8月末から9月上旬、10月上旬の3回の時期に、連続観測している蛍光度の上昇が観測された。直前の負荷の流入によって蛍光度が上昇しており、主たる優占種は、藍藻類のミクロキスティスであった。また、湖内の状況把握のため、写真画像の確認を行ったが、太陽光の強さや映り込みなどによって水面の画像が変化すること、吹き寄せられる場所が短時間で変わること、の要因により、画像から藻類の定量化には至っていない。
予測モデルの改善は、カルマンフィルタによる補正を取り入れ、精度向上を目的としたパラメータの調整を実施した。カルマンフィルタに、必要となる直近の実測値は、水面の画像を利用することを想定していた。しかし、画像から値を導出することができなかったため、検証にあたっては蛍光度の値を用いた。構築したアオコ予報システムは、2日先のアオコの発生傾向を精度よく予測できた。Webサイトの気象予測情報を逐次取り込み、48時間先までの流入水および湖水の水温、自流域からの流入水量と栄養塩流入量を予測し、直近の実測値を利用してフィルタ補正しつつ、2日先までのアオコの発生量を予測できる。
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