研究課題/領域番号 |
18K05898
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研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
齋藤 高弘 宇都宮大学, 農学部, 教授 (50221990)
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研究分担者 |
田村 匡嗣 宇都宮大学, 農学部, 助教 (60750198)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ホップ / 乾燥方法 / 苦み / 香気成分 |
研究実績の概要 |
本年度は,熱風乾燥(AD),L-AsA噴霧乾燥(ASD)および凍結乾燥(FD)の3つの乾燥を施したホップの苦味および香気成分の変化を明らかにすることとを目的に進めた.ADはRAWを60℃の熱風乾燥機(LC-122,TABAI)内で目標含水率が10±1%になるまで乾燥させた.ASDはADの方法に加え,一時間毎にホップ100 gに対して1%L-AsA溶液0.32 mlを万遍無く吹きかけた.FDはRAWを-20℃で予備凍結させた後,棚温を40℃に設定した真空凍結乾燥機内で約24時間乾燥させた.乾燥ホップは,苦味および香気成分,官能を評価した.α酸は,RAWにおいて12.1 % d.w.であり,乾燥によって減少した.α酸の残存率はADで50.6%,ASDで54.0,FDで44.2%であり,有意な差はなかった. Cohumuloneは約2割減,Humulone + Adhumuloneは約7割減であった.乾燥中にα酸が酸化したことで,HuluponesやHulupinic acidに変化した18)と推察された.香気成分の面積値より、生で38成分,ADで30成分,ASDで36成分,FDで32成分がそれぞれ同定され,総面積(香気量)は順に1.4,2.2,1.8および1.2(×1010)であった.生および乾燥ホップにはモノテルペン炭化水素が約9割,セスキテルペン炭化水素が約1割含有した.これらは麦汁煮沸時に揮発し,ビールに移行する成分はわずかと報告されている1).ADホップは,麦汁に移行しやすいモノテルペン系アルコールおよびエステル類1)を多く含み,ビールに多くの香気が移行すると推察された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安定的な資料の入手や当初の研究計画通り乾燥方法が苦みや香気成分への影響について一定に知見が得られているため
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今後の研究の推進方策 |
今後は,ホップの添加工程が苦み香気成分におよぼす影響を検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
一部、苦み香気成分に用いる試薬などが効率的に利用でき、費用を節減できたため.
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