人工光型植物工場における省資源、高生産性、省力および環境保全を推進する研究の結果、以下の実績を得た。第1に、植物特性計測に関しては、植物成長の初期段階にあたる発芽時刻の正確な計測をカメラ画像の分析によって実施した。その計測に先立って、そのための装置を構築した。画像分析は教師データ付きディープラーニング法を用いておこない、発芽時刻を30分の精度で特定することができた。 第2に、発芽時刻に影響をおよぼす因子として、気温・空気飽差、培地表面温度(放射温度計)、培地含水率(電子天秤計測)を計測し、それら因子の発芽時刻におよぼす影響を重回帰分析した。上記の成果は、Frontiers in Plant Science誌に2020年に掲載された。 第3に、植物工場におけるエネルギー・物質収支を計測・解析し、その解析に基づいて、植物栽培棚群落の正味光合成速度、暗呼吸速度および蒸散速度を算定するシステムを用いて、それらの計測値から、電気エネルギー利用効率、光エネルギー利用効率、水利用効率を算定できるようにした。この研究成果は、Springer社発行の学術書Plant Factory: An Indoor Vertical Farming System for Efficient Quality Food Productionの改定第2版のChapterとして公表した。 さらに、本研究成果を、2019年と2020年には、英語で各2回、講演または講義した。上述以外の研究成果を、2021年3月末までに、原著論文1報および英文書籍のChapterとして取りまとめたので、4月以降に出版予定である。
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