研究課題/領域番号 |
18K05904
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
宮内 樹代史 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 准教授 (80253342)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ソーラーシェアリング / 光環境 / 作物 / 光合成 / 半透過型パネル / 再生可能エネルギー |
研究実績の概要 |
本研究では、ソーラーシェアリングを活用した新たな営農モデルを構築するために、次の3点について検討している。1)ソーラーシェアリング下の光環境と作物生育、2)半透過型ソーラーパネルの特性と植物栽培への利用可能性調査、3)ソーラーシェアリング時の収量予測モデルの構築 ソーラーシェアリング下の光環境については、昨年度に引き続き、稼動中の施設(高知県四万十町、遮光率70%)での計測を行った。パネル上部に対するパネル下部の日積算光量子量の割合は、月平均で地上部1.5mが7.6%、1mが17.4%、0.5mが21.6%となり、昨年度と同等であった。減光に応じて栽培作物の光合成速度も低下したが、収量についてはハスイモで慣行比122%、万次郎カボチャで慣行比73%確保できた。 半透過型ソーラーパネル下の光環境は、40%程度の光透過率を示したが、リーフレタス栽培期間中の日積算光量子量は2.3mol/m2/dとなり、露地部の13%程度であった。しかし、遮光率70%のパネル下で栽培した場合と、栽培期間、積算温度、積算光量子量を同程度にして比較したところ、地上部乾物重は半透過型パネル下の方が、1.5~3.7倍高い値を示した。従って、土壌や光源の要因にもよるが、作物収量の増加が見込め、ソーラーシェアリングにおける半透過型パネルの利用可能性が示された。 また、現地施設、半透過型パネル下での光環境と作物収量の計測に加え、ガラス温室内の養液栽培装置上に半透過型パネル設置した計測、LEDインキュベータ内での調光環境下での計測を行い、光環境に応じた収量予測モデル構築のための基礎データを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は、半透過型ソーラーパネルの試験圃場への設置ができず、パネル下の特性評価、栽培試験を行えなかった。しかし、今年度当初に設置を終え、試験を開始した。透過型パネルは、露地圃場及びガラス温室内の養液栽培装置上に設置し、それぞれパネル下の光環境、作物栽培試験を行った。その結果、遅れていた試験項目を終えることができ、概ね順調な軌道に戻すことができた。 しかし、コロナ対応のため、年度末の現地施設でのデータ回収・機器点検が行えず、2020年1月から報告書作成時(6月)までのデータが失われた。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題として挙げていた3つの項目のうち、「ソーラーシェアリング下の光環境と作物生育」、「半透過型ソーラーパネルの特性と植物栽培への利用可能性調査」の2項目についてはほぼ達成することができた。 「ソーラーシェアリング時の収量予測モデルの構築」については、これまで蓄積したデータを踏まえ検討を行うが、現時点でも現地施設(四万十町)でのデータ収集の見込みは立っていない。しかし一方で、別施設において遠隔システムを用いた環境計測を計画しており、学内での栽培試験と合わせ、モデル確立への資料とする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験圃場での設置部品が確保できず未使用額が生じたが、次年度分と併せ物品費として速やかに使用する予定である。
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