本研究では、ソーラーシェアリングを活用した新たな営農モデルを構築するために、次の3点について検討を行った。1)ソーラーシェアリング下の光環境と作物生育、2)半透過型ソーラーパネルの特性と植物栽培への利用可能性調査、3)ソーラーシェアリング時の収量予測モデルの構築 ソーラーシェアリング下の光環境については、稼動中の施設(高知県四万十町、遮光率70%)での計測に加え、徳島市の施設(遮光率70%)での遠隔計測を行った。パネル上部に対するパネル下部の月平均日積算光量子量の割合は、四万十町で約30%、徳島市で約40%であった。四万十町の施設での継続調査により、パネル下の栽培作物(ハスイモ、万次郎カボチャ)の収量は、概ね地域平均の80%程度となり、ソーラーシェアリングの農地転用許可条件をクリアした。また、徳島市の施設では同品目に加え、自然薯、ギボウシ等の品目を栽培し、品目拡大について検討した。 半透過型ソーラーパネル下での光環境と作物生育調査においては、ブルーベリーを新たな品目として栽培した。その結果、半透過型パネル下での収穫ピーク時期が対照区より2週間ほど遅れ、一般的な出荷最盛期との差異が生じた。従って、半透過型パネルは、品薄時の出荷を目指した生育、収穫時期の調整に活用できることが示唆された。 また、四万十町での継続調査から、高遮光率下での栽培可能品目を明らかにした。露地栽培においては、光環境以外の諸条件が大きく左右することから、明確なモデル化には至らなかったが、ソーラーシェアリング下での栽培品目について一定程度の指針を示すことができた。
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