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2022 年度 実施状況報告書

ナノミスト噴霧器を用いた統合型農業補助システムの構築

研究課題

研究課題/領域番号 18K05908
研究機関宮崎大学

研究代表者

淡野 公一  宮崎大学, 工学部, 教授 (50260740)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード噴霧器 / 液剤噴霧 / 薬剤噴霧
研究実績の概要

2022年度は,新型コロナウィルス感染拡大防止に対する対策が一部緩和され,ビニールハウスにおける噴霧実験を再開できるようになった。昨年の報告でも記載したが,宮崎大学研究・産学地域連携推進機構の教員の協力により,トマトを対象としたホルモン剤(トマトトーン)の噴霧実験に取り組むことがでた。従来,トマトの着果・成長促進のために,花房一つずつに霧吹きを用いて噴霧しているという現状があった。そこで,噴霧器を用いてホルモン剤を噴霧するビニールハウスと噴霧しないビニールハウスを2棟準備し,比較実験に取り組んだ。まず,提案しているナノミスト噴霧器を用いて,100倍に希釈したホルモン剤を噴霧し,トマトの着果数を確認し,そこから着果率を導出した。その結果,無処理区における着果率29%であったが,処理区の着果率が48.5%であった。着果率から,ナノミスト噴霧器による散布の有効性は確認できるが,手散布による着果率(平均で90%程度)には程遠い結果となった。そこで,ホルモン剤の希釈倍率を5倍に変更し,同一のナノミスト噴霧器による着果実験に取り組んだ。そのとき同一条件とするため,噴霧総量が等しくなるように設定した。その結果,着果率が98.2%となり,大幅な改善が見られた。本実験では希釈倍率を5倍にまで落としたことから,薬剤によるトマトへの影響が懸念される。ここで用いたトマトトーンでは,その主成分である4-クロロフェノキシ酢酸が特に問題となると考えられる。そこで,残留農薬試験を行った。その結果,測定限界以下であることがわかり,問題とはならないことが明らかとなった。
今後は,希釈倍率を変更させ,ホルモン剤の使用量を減らす取り組みが必要であり,そのためには,噴霧器を複数台設置することも検討する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本実験は大きく2つの要素から成り立っている。一つはナノミスト噴霧器を用いた実験である。これに関しては,上述のように学内における研究協力者に恵まれ,実験そのものは問題なく進んでいる。今後も,ホルモン剤の希釈倍率を変更させた実験を計画中であり,5月下旬より実施する。このように,これからもスムーズに研究を進めることができると思われる。また,ナノミスト噴霧器,特にシリンダの改良である。これは,噴霧実験に伴い,その結果に基づいた噴霧器そのものの改良を行うというものであるが,以前に示した通り,噴霧器の製造を担っていただいていた川崎氏が他界された影響は大きく,それによる遅延は否めない。そこで,数々の企業に相談し,株式会社MFE HIMUKAの社長である島原様が興味を持ってくださり,シリンダを作ってくださることになった。今後は,島原様と協議を進め,新たなシリンダを製造する予定となっている。

今後の研究の推進方策

2022年度が本科研費の最終年度となっていたが,先の説明の通り,新型コロナウィルスの影響などにより研究が遅延したため,一年の延長を申請し,それが認めたれた。そこで,2023年度は,以下のようなことに取り組む。
まず,継続的にホルモン剤の噴霧実験に取り組む。ホルモン剤の希釈倍率を変更させた時の着果率について調べる。また,噴霧器を複数台使用することによる着果率についての検証も行いたいと思う。また,現段階における研究成果を論文にまとめ,発表する。
噴霧器の改良については,島原様に,シリンダの中のパラメータを自在に変更できるような新たなシリンダの製造を依頼しする予定である。その改良したシリンダを用いて,各種噴霧実験を行い,噴霧特性への影響について確認する。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの影響により実験が実施できなかったことに加え,シリンダの試作をご担当いただいていた川崎氏の死亡により,シリンダの修正に伴う試作が不可能となったため,今年に持ち越しとなったため。ただし,今年からはビニールハウスにおける噴霧実験およびシリンダの試作が可能となる。また,学会での発表や論文投稿費の支出が考えられる。

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公開日: 2023-12-25  

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