2品種(ヒノヒカリ、にこまる)、2施肥条件試験(標準区、追肥区)圃場において、全天球カメラを用いて、株元で撮影した画像の植被率と成育関連パラメータ(LAI、茎数、草丈)との関係を明らかにした。 水稲画像と背景画像の判別はカラー画像の2値化で困難なため、 Lab 色空間を採用し、a 画像と b 画像について2値化を試みた。緑―赤軸に対応する a 画像では株が黒く、上空や水面は灰色に近い色に変換された。青―黄軸で対応する b 画像では株が白く、上空が灰色、水面が黒くなった。2値化を行った水稲領域の判別画像を比較すると b 画像では a 画像よりも水稲領域が狭く、目視判読画像から判断して自動2値化による適切な水稲領域の抽出は行えないと考え、以降の解析にはa画像を採用した。背景に映り込む株がノイズとなるため、暗幕にて背景の遮断を検討したが、影響は10%程度であったため、より自然状態に近い暗幕なし条件を採用し、本条件での水稲領域の割合を植被率とした。 この植被率は、生育調査項目である茎数、草丈、LAI、草丈×茎数、周囲長、乾物重との相関はLAIと乾物重を除き0.8以上と高く、LAI、乾物重も直線関係にはないもののPearsonの相関係数で0.6以上であった。このため、茎数と草丈は回帰直線で精度よく推定可能であった。 このように全天球カメラでの株元での撮影により、水稲の成育パラメータの追跡が可能であり、UAVなどでの空撮によるNDVIよりもこれまでの水稲の栽培管理基準に基づく管理に役立つと考えられる。
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