研究課題
ソーラーパネルによりエネルギーを自給する自律走行ロボットに360°カメラ(RICOH THETA V)を取り付けて、2020年8月下旬にダイズの群落内部を100m以上走行しながら動画を撮影した。条間72cmでダイズ群落がトンネルを形成している状況の下、葉や茎と干渉しながらの撮影となり、カメラを取り付けたステーが大きく揺れる見づらい動画となった。葉がレンズに大きく重なる状況が頻繁に発生し、群落に影響を与えない非接触の画像とは言い難いものの、カメラと作物の干渉が比較的緩やかな場所では、ダイズ条間に形成されるトンネルを地面から見上げるような画像の中に、ダイズの未熟な子実を含めた多様な情報が確認された。360°カメラなので、水平を見るとダイズの一部褐変した葉や倒伏した茎、未熟な子実が観察でき、上空を見ると葉の繁茂状態がわかった。下方を見ると中耕培土により土寄せした様子やほ場表面の土塊の状況、雑草などが観察された。今後、カメラの取付方法を改善すると、より見やすい画像となり、普段見ることのない群落内部の画像を生産者が観察できると考えられた。さらに、人工知能により作物群落の360°近接画像を解析することにより、ドローンによる生育モニタリングを補完するような病虫害や収穫時期、収量の予測につながる見込みが得られた。また、昨年度、RTK-GNSSを備えたドローンにより必要最小限の標定点数でタマネギほ場の三次元モデルとオルソ画像を生成できることを確認したが、ほ場に基準局を都度設置するので手間がかかっていた。そこで、大学の建物屋上に基準局を設置し、Ntrip方式によるRTK補正情報を取得可能なマルチスペクトルドローンにより、一層簡易に高精度かつ多様な生育データを取得する見込みが得られた。こうした技術と群落内部の情報を組み合わせることにより、より高精度な生育モニタリングが可能になると推察された。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件)
Engineering in Agriculture, Environment and Food
巻: 13 ページ: 9~14
10.37221/eaef.13.1_9