研究課題/領域番号 |
18K05911
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研究機関 | 県立広島大学 |
研究代表者 |
朴 壽永 県立広島大学, 生物資源科学部, 教授 (10573165)
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研究分担者 |
大浦 裕二 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (80355479)
山本 淳子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 本部, ユニット長 (00355471)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 認知脳科学 / 咀嚼 / ニューロマーケティング / 食嗜好判別 / fNIRS |
研究実績の概要 |
女子大学生30人を被験者とし、同じ洋菓子を、ミュージックビデオを見ながら食べる、ミュージックビデオの音楽のみを聴きながら食べる、孤食の三つの異なる設定の下で行った実験データの分析結果、「ミュージックビデオの音楽のみを聴きながら食べる」が最も低いOxy-Hb濃度を示し、これに続き「ミュージックビデオを見ながら食べる」、最も高いOxy-Hb濃度が「孤食」となった。判別率は82.1%であった。このことは、音楽によるリラクゼーション効果が表れたと推測される。またmp4よりmp3の方が、よりリラックス状態になったと考えられる。孤食をせざるを得ない場面でも音楽を用いることによって食事環境の快適さを向上できることが示唆された。 次に、グリーンアスパラガス、被覆栽培のホワイトアスパラガス、土盛栽培のホワイトアスパラガスは成分分析によってプロトディオシンの含有量が順に高いことがわかっていることから、女子大学生28人を被験者とし、それぞれのアスパラガスを摂取した際の苦みに対する脳活動計測値を分析したが、差を確認できなかった。 上記2件の脳活動計測にWOT-220を用いた。 ほかに、本研究の1年目に行ったHOT-1000による玉子焼きやリンゴの試食時の脳活動計測では差が認められず、2年目に行ったBOM-L1TRWによる玉子焼き試食時の脳活動計測では80%の精度で判別できた。 以上より、コロナ禍の制約もある中で30前後におけるサンプルサイズで実施したBOM-L1TRWとWOT-220の約80%前後の判別率は、本研究の目的である咀嚼時の認知脳科学的食嗜好判別の確立までには至らなかったことを示す。今後のさらなる工夫や計測機器の発展が望まれると考える。これらを総括した分析結果は投稿論文として整理を進めている。
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