研究課題/領域番号 |
18K05924
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
三瓶 由紀 和歌山大学, システム工学部, 研究支援員 (00469743)
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研究分担者 |
原 祐二 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30422455)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 地域内資源循環 / 里山 / たい肥化 / 有機性廃棄物 / 保育園 / 環境教育 |
研究実績の概要 |
本研究は、近畿圏の都市近郊地域を対象に、これまで個別に実施されていた里山保全事業と資源循環事業の連携運用による相乗的効果の把握と行政の役割について検討すると共に、持続可能な地域づくりの実現における幼児教育の場での既存事業の連携運用の有効性を考察しようとするものである。 今年度は、堺市ならびに堺市内の保育園の協力により、堺市が推進している資源循環事業(いきごみさん)の出前講座の園児の体験、保育士による給食残滓のたい肥化を実施してもらい、その様子を参与観察した。また秋の遠足の里山活動において、4歳児クラス52名、5歳児クラス57名の計109名の園児に、里山生物資源(落葉落枝等)の収集してもらい、園児自らの関心に基づき回収されうる量や種類を把握した。 当該園では給食に係る生ごみが、一人当たり平均で約50g排出されていたこと、市の事業で推奨する方法によるたい肥化によって園が無理なく削減できる生ごみ量は約2900g/月であることが示唆されている。また、里山生物資源の収集量については平均で一人あたり約60gであること、また4歳児クラスの平均収集量は5歳児クラスを大きく上回ることが示された。さらに、4歳児クラス・5歳児クラスともに10g未満から100g以上と収集量の幅が広く、種類も多岐にわたっていたことから、4歳児・5歳児クラスでは年齢差による収集量には大きな違いは生じず、それぞれの興味や関心などによる個人差が大きいと推察された。 そのほか、次年度以降に予定している園周辺農地のたい肥受け入れ可能性の検討にむけ、現地の土地利用調査の実施とGISデータ構築も実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市の出前事業イベント等の日程は前年度中に概ね決定してしまうことが多く、さらに今年度は台風の影響もあり、里山生物資源の収集が当初検討していたよりも遅く、気温の低い時期に実施することとなってしまった。そのため、成分分析については今年度中に実施するのではなく、分解が十分にすすむことが期待される次年度の春までやむなく延期することとなった。そのほかの園児の保護者へのアンケート実施に向けた園との調整などは順調に進んでおり、GISデータの構築については、当初の計画以上に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度園児が収集した里山生物資源を活用したたい肥化を実施し、その成分分析を実施する。また、園でのイベントや保護者への情報提供の前後で、園児の保護者へとアンケートを実施し、望ましい地域の将来像、たい肥化や里山活動への参加意思の変化など、保護者への波及効果についても調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額のすべては、当初本年度中に予定していたが延期になったたい肥の成分分析費用である。今年度は台風等の影響もあり里山生物資源収集の時期が遅れ、たい肥化がうまくすすまない冬季にかかってしまった。そのため、里山資源を活用したたい肥生成は春季に延期することとなった。春季に生成されるたい肥の成分分析費用として6月に使用する予定である。
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