2020年度より新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、保育園等の教育施設における給食残滓を使用した堆肥化は安全性の点から中止されてきた。その後も実施困難な状況が続いていたが、今年度も引き続き大幅に研究計画を見直す必要性が生じた。 そのため、今年度も昨年度に引き続き、保育園等の教育施設における食品廃棄物に関する活動事例や施策に関する国内外の文献調査も継続し、保育施設での給食について食育・食農の面からみた特性についても考察をすすめた。同時に、地域内資源循環に関わる行政施策の実施動向と、それらにおける堆肥化施策の位置づけについて、近畿圏、特に京都府に注目し過去5年間の動向を把握すると同時に、海外における資源循環に向けた堆肥化事例と施策の動向についても文献調査をすすめた。 その結果、海外での堆肥化事例については、従来の家畜排せつ物を活用したバイオガスプラント等だけでなく、生ごみの徹底した分別と行政によるコンテナ収集、コンポスト施設の増設などによる堆肥化の推進が確認された。既に、法制化による各家庭での生ごみ堆肥化が義務付けられる事例も複数確認されている。日本においても、バイオガスプラント等は確認されているものの、設置は一部の自治体に限られており、コンポスト容器への補助など住民の理解・参画に基づく各家庭での実施に向けた施策が多く実施されていることが分かった。その一方で、あくまでも住民の意思に委ねられており、十分な効果が得られていない可能性もあり、今後、堆肥化による地域内資源循環の推進に向けては、住民の意識・行動変容に向けたあり方の検討が必要であると考えられた。
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