研究課題
2018年から2020年までの3年間の成果について、2022年7月17日から22日までフィンランドのヘルシンキで開催された第26回国際昆虫学会議(XXVI International Congress of Entomology)で営農再開後の水田生物の生息状況と自動撮影装置による赤とんぼ類の調査の2課題についてポスター発表を行った。また、赤とんぼの自動撮影装置については、データを解析した結果、秋の成虫個体数調査と自動撮影調査の結果が一致すること、また、アカネ属の一種であるノシメトンボに関しては、秋の自動撮影調査の結果から翌年に羽化するヤゴの個体数をある程度予測できることが明らかになり、これらをまとめて、PeerJへ論文投稿し、「Camera-trapping estimates of the relative population density of Sympetrum dragonflies: Application to multihabitat users in agricultural landscapes」として受理、出版された。研究期間全体の成果として、営農再開後の水田生物については、トウキョウダルマガエルはすぐには復活しないものの、アキアカネは再開2年目から飛来すること、水生昆虫は営農中断なしの水田よりも多くの種が生息しており、営農中断し除染した水田においえても再開すれば生物多様性は保たれていることが明らかとなった。このことは、原発事故による風評被害の払拭にもなり得るとともに、営農を中断した水田であっても再開すれば生物の生息場所としての水域として評価できると考えられた。一方、赤とんぼの自動撮影装置は、赤とんぼの定量的な調査が適用できることを示した成果として里地里山再生の評価の効率化に寄与するともに、生物多様性モニタリング技術発展の礎となることが期待される。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
PeerJ
巻: 11 ページ: E1488 E1488
10.7717/peerj.14881