ウズラ(Coturnix japonica)は、卵肉生産において利用される家禽であるが、経済的に重要である産卵や産肉に関わる遺伝子座は十分に明らかにされていない。本研究の最終的な目的は、ウズラの産卵や産肉性などに関わる量的形質遺伝子座を特定することである。そのために、以下の4つの内容を実施した。1)資源家系として、体重に大きな差のある2つの系統を親世代とし、18個体のF1の全きょうだい交配を行いF2を生産した。2)産卵や産肉に関する形質データ(体重、脚長、初産日齢、産卵個数、卵重、卵黄重など)を各個体ごとに収集した。F2個体については、データ欠損などがなく遺伝子マッピングに使用できるものを選び出し、最大で339個体分の形質データを取得した。3)RAD(restriction site associated DNA)シーケンシングにより、遺伝子座のマッピングに使用するSNP(single nucleotide polymorphism)マーカーを作成した。最終的に、品質が高いものや欠測の無いもの、親がホモ型でF1がヘテロ等の解析に適している248のSNPマーカーを選抜した。今後は、形質データとSNPマーカーの遺伝子型データを用いて連鎖解析を行い、有用形質を支配する量的形質遺伝子座の染色体上での位置を特定する。本研究の結果は、将来のウズラのDNA育種を実現するための基礎的な情報として有益であると考えられる。
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