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2019 年度 実施状況報告書

反芻家畜の栄養素代謝に対するメチル基転移経路の寄与

研究課題

研究課題/領域番号 18K05947
研究機関広島大学

研究代表者

小櫃 剛人  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 教授 (30194632)

研究分担者 杉野 利久  広島大学, 統合生命科学研究科(生), 准教授 (90363035)
研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2021-03-31
キーワードフィトール / ギ酸 / メチオニン / ヒツジ / 葉酸 / メチル基代謝
研究実績の概要

ヒツジへのフィトール給与が血漿中のギ酸およびメチオニン回路代謝関連化合物の濃度に及ぼす影響について検討した。去勢成メンヨウ4頭を用い、1期15日間とする3期の試験期を設けた。1期と2期は対照区飼料(粗タンパク質含量12%、粗脂肪含量6%)を維持エネルギー量の1.5倍相当量給与し、2期では対照区の飼料に乾物給料量の1.2%相当のフィトールを混合して給与した。血漿中ギ酸濃度はフィトール給与期で高く、血漿メチオニン、グリシン、セリンの血漿濃度もフィトール給与期で他の期に比べて高かった。一方、血漿システインおよびホモシステインの濃度にはフィトール給与の有無による違いはなかった。以上のことから、フィトールからおそらくフィタン酸が生じ、それに由来するギ酸の血漿濃度が増加し、葉酸回路からのメチル基供給が高まり、メチオニンの濃度が上昇したと考えられた。また、ラットでの先行研究においてPPARの活性化がセリン合成酵素遺伝子の発現を高めることが報告されていることから、活性化されたPPARによってセリン合成が高まったこともメチオニン濃度の増加に寄与したと推察された。
さらに、酒粕を含む発酵混合飼料および非発酵混合飼料をヒツジに給与する試験を行い、血漿ギ酸およびアミノ酸濃度を測定した。また、[1-13C]メチオニンおよび[メチル2H3]メチオニンを頸静脈内に連続注入し、メチオニンの代謝量を測定した。血漿中メチオニン、システイン、ホモシステインおよびギ酸濃度には、飼料による違いは認められなかった。両方の標識メチオニンで測定したメチオニンの全身フラックスおよびメチオニン再生量にも飼料間の違いは認められなかった。酒粕発酵混合飼料のエタノール含量が乾物中1-2%程度と想定より低かったため、期待したエタノールによるメチオニン代謝への影響が認められなかった可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

安定同位体を用いたメチオニン代謝量の測定技術を確立し、飼料の影響に関する試験を実施することができた。
また、フィトール給与が肝臓組織での遺伝子発現に及ぼす影響を調べるために、肝臓生検に替えてと殺試験を実施しているが、試験に用いるヒツジの頭数が十分に得られていないため、継続して試料採取を行い、供試頭数が十分に得られた段階で遺伝子発現の解析を行う予定にしている。
全体として初年度の分析方法開発の遅れを取り戻し、全体的に順調に進行している。

今後の研究の推進方策

今年度は、アルコールの影響を明確にするために、エタノールを給与した場合のメチオニン関連代謝物への影響を検討する予定である。また、と殺試験の例数を増やし、関連遺伝子の発現についても検討する予定にしている。

次年度使用額が生じた理由

前年度の研究進行の遅れによって生じた繰り越しがあったことと、3月末に予定した学会が中止になったために次年度使用額が生じたが、今年度の支払請求額分についてはおおむね使用した。次年度使用額分については、研究を加速するために外注分析費用などにあてる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2019

すべて 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Phytol alters plasma concentrations of formic acid and amino acids related to one-carbon donors in sheep fed a high-fat diet2019

    • 著者名/発表者名
      Ding, L., Matsumura, M., Obitsu, T., Sugino, T.
    • 学会等名
      The 12th Joint Rumen Metabolism and Physiology Symposium
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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